コラテラル

プライバシー情報の取り扱いが厳しくなって以降、ちょっとしたプライバシー情報が漏れることに、普通の人々がとても敏感に反応する昨今。学級会の連絡名簿や自治会名簿の作成で、電話番号はもちろん、ひどい所では名前すら載せるなという要望まで出ることがあると聞く。

でも、普通の方々が反応するプライバシー情報に対する「敏感さ」は、わかりやすいところ、その人が理解しやすいところだけだったりしないだろうか。それが「見るからにプライバシー情報」であり、明らかに目に見える形で皆の目に触れる、ということが“すぐにわかる場合”にのみ反応しているだけで、少し考えないとそういうことが見えてこないことや、うまくヴェールに包まれている時には、そもそも反応することすらできなかったりする。

 

昨今は、何を買うにしても、どんなサービスを受けるにしても、まずはネットで探してみる、という人が増えている。価格比較サイトの情報も、かなり知れ渡っている。
家電量販店において、「ネットではこの値段で出てたんだけど…」なんてのを交渉ネタにして、価格交渉を行う人も、珍しくなく存在するのが今の買い方。

店側も、値引きに応じなければ購入してもらえないことになり、苦慮しているだろう。一部、かなり対抗策を講じ始めた実店舗などもあるようだとも聞こえてくる。
直接割引には応じられなくとも、当店のポイントカード会員になっていただければそのポイント分として値引く…、なんてサービスは、はるか昔から始まったはなし。その割引ポイントのために、各社のポイントカードでお財布が膨れている人もいるだろう。

A社ではA社のポイントカード、B社ではB社のポイントカード…。当然だろう。ポイントカード戦略はこそ、顧客をその会社につなぎとめるための戦略なのだから。
でも、それぞれに使い分ける、カードを出しわけるのは、顧客の側からすれば面倒だ。…ということで、ある会社のポイントシステムに乗っかった統合型のポイントカードで、A社B社C社…を横断的に使えるカードが出てくる。
こりゃ便利だ、山ほど持っていたカードが1枚で事足りる。

しかし考えてみれば、カードを作成する際には、さまざまな個人情報の提供を求められ、それを使う際には、その企業に対して、いつ、どこで、どんな値段で、何を購入したか?というものを毎回提供していることになっているケース、少なくない。
知らされていない…ということはほとんどない。たぶん、約款などで記載されていたり、告知はなされているはずなのだけれど、使う側が気付いていないだけだというパターンがほとんど。だから仁義は“ひっそり”切られている、が、その人が知らないだけなのだ。

 知らない事は、見つけられない
 知らない事は、反発できない

IT関係者の間で、ここ最近のバズワードとして「ビッグデータ」なんてのもてはやされているけれど、多くの場合、以前からこうした顧客情報は獲得されていたわけで。“今から集めましょう”という話ではなく、“今まで持っていたはずの宝物データを活用しましょう”ということ。これがバズワードになっていること自体、さて、どのくらいのプライベートデータが蓄積され、(個人を特定できない形だとしても)分析されようとしているのかは、うっすらとでも感じておいた方がいいんじゃないかな。

無料無料と無料に飛びつくことが多いけれど、その缶コーヒー一本を得るために、実は、今後あちこちで利用されかねないデータを、対価として支払っていたりしないかな。

# 払っているのはお金とは限らない。