つなげる時代

ケータイやスマートホンは、すでに日本国において1億台以上が稼働しており、よほど特別な事情でもない限り、持っていない人の方がマイナーになってしまっている時代。特に、日本のケータイは“ガラパゴス”ケータイとさえ呼ばれ、世界的視点から見て独自の進化を遂げたために、ネットへの接続もどうってことない。であるために、反対にスマートホンの普及が世界手レベルから見て低いという弊害も生んでいるそうだが。

 

そんな時代であるため、電車の中で、喫茶店で、飲み屋で、「えーっと、あれ、ほら、この間○○がテレビで言ってた…」という場面で、すぐにケータイ経由で検索エンジンに頼る人が増えている。適当にその“周辺”のキーワードをいくつか打ち込んで、検索、とすることで、30秒もすればお悩み解消。胸のつかえが取れるかのごとく、話題は流れていく。

 

 

こうして見つかる“結果”は、単語や名刺が多いのではないだろうか。もちろんそれ以外の公式なり、データを見つけようとする向きもある。これらをより大きく包含して話を進めるために、それを「オブジェクト」と呼ぶことにしてみる。

 

検索で見つけたいのは、ターゲットオブジェクトだ。イメージは多分頭の中にある。が、その“呼び方”がわからない。なので“名前”がほしい。それを探すことに。

飲み屋での話ならそれでいいかもしれない。しかし、すでにそうして何かを探すという行為は、仕事の中に取り込まれている場合も少なくない。こんな商品/サービスはあるのか、この規格はどうなっているのか、現在の○○の状況はどうなっているのか、あの結果はどちらがどうなったのか…。

そうしてみつけたいオブジェクトを見つけられれば終了。…ではないはずだ。

 

人はそうして見つけ出したオブジェクトを、手持ちのオブジェクトといくつもつなぎ合わせ、ストーリーを作る。もしくは、正しい順に並べたり、関係性を明らかにすることで、理由を解き明かす。

とするなら、人が価値を生んでいるのは、オブジェクトとオブジェクトを“つなげる”ことであり、またその“つながりの意味”を見つける事。

 

どうしてそれがつながっているのか、なぜそれがつながるのか。つながっているからにはなにか“つながる理由”がある。もしそれがつながっていないとするなら、それにも理由がある。そして今はつながっていないものが新たにつながることができるとするなら、それまでにはなかった新しい関係性としての“理由”が生まれる。

 

放っておいてもつながるモノだけが自然につながるという、という事象で終わっていた時代は多分過ぎ去った。意外な関係性、意外なつながりを作り出す、演出することで、人々はそこに価値を見出し、あらたな驚きや新鮮さを感じ取る。

“つながること”に価値があるのではなく、“つなげること”で価値が生まれる。それも、単純なつながりではなく、意味のあるつながりであればあるほど価値を生む。そうして“つながっていることを読み解く能力”、“つながりの価値を生み出すこと”こそが、次のベースラインとなる。

 

単純にオブジェクトそれ自身、を見つけるだえではなく、オブジェクト同士の関係性こそがが価値を生み出している。