テレビの上、下

もうほとんどのご家庭では液晶テレビなんだろう。それも結構薄型の。でもまだ「壁掛け」にしているご家庭は少なそうだ。とするとやっぱり以前と変わらず「テレビ台」的な物の上に立っているであろうテレビ。薄いものを支えるためには「脚」はそれなりの投影面積が必要で、思ったほどの薄型のメリットは出ていないかも。

 

任天堂のWiiでは、リモコンを使うために「センサーバー」という細長いバーのような装置を設置する。あれは確か、テレビの上側、下側、どちらかに設置するとあった気がするけれど、今はそれもテレビの下がほとんどなのかなぁ。以前なら数センチの幅があった「テレビの上」に設置することもできたんだけど。

 

 

昭和の時代のテレビは今と違ってもっと奥行き方向がある箱型で、画面サイズも大きいと言っても「29型」もあればそりゃもう大きい大きい、なーんていう時代も。そんなテレビはブラウン管で、だから当然、今よりももっと厚みのある直方体。でいまよりも厚みがあるわけだから、その上にはいろんな物が置けるほど。

だからその昔は、年末のボーナス商戦向けには「今テレビを買うと、テレビの上に置く来年の“干支の置物”をプレゼント!」、なんていう企画もあった…と書いたところで、思い描けない人の方が多いかな。

 

それでもまだ最初に書いた通り、テレビは壁に張り付いていない。だからスタンドがあってその上に立っている。少々のことでは倒れないようにバランスをとるために、スタンドにはテレビの薄さ以上の幅があって、結局設置面積(壁から前に突き出てくる距離)は、ブラウン管時代に比較して短くはなったものの、なかなか数センチというところには結びつかない。

 

 

もう一つ。

以前ならVHSデッキ、今ならHDD/BDレコーダーだろうか。すでにテレビに内蔵されているものも出ているけれど、番組録画機器を別に持っている人はまだたくさん。それら「デッキ」が奥行的に薄型になった、という話はほとんど聞かない。映すテレビ自体がいくら薄くなったとしても、映像蓄積装置たるDVDやBD、HDDプレーヤーが、以前のVHS時代のデッキと同じくらいの“奥行き”を持っていたとするなら、テレビ台は依然と同じく必要になるし、奥行きは縮まらない。

HDDにせよ、BD/DVDのデッキにせよ、縦置きにして奥行方向の薄さを稼ぐことはできるのに、どこの会社もこういったデザインで切り込んでこない。もしかすると中小のメーカーからは出ているのかもしれないけれど、大手家電メーカーにはそんな兆しはまず見えない。

 

ユーザーのライフスタイルを変えるとか、新しいライフスタイルを提案するとか、いろんな御託を並べていたりするけれど、やらなきゃ始まらない、けどやらない。もちろん、失敗することが怖いし、恐れているというのはあるだろう。

ただし、“失敗できる体力が残っているうち”というあたりがカギだろうけれど。