テトリスの涙雨

友人の就職が決まった。

いや、今どき決まるということから察して、いわゆる再就職先を探していたわけであり、新卒入社なんてのじゃない。

 

まだ詳しくは聞いていない。ただ、相当苦労しているというのは聞いていた。

 

 

もうすでに誰も信じていないだろうと思うけれど、日本において「終身雇用」などという状況を信じている人はまずいないだろう。一部の社内競争に勝ち残った者が、ステータスを上げていく。が、三角形の上に行くほど“面積”は減る。

日本経済全体が、少しずつでも成長していれば、「三角形全体」がじわじわと大きくなり、三角形の上に上るにつれて、頂点付近の面積も増えていたからこそ、多くの雇用が確保されていたであろうところ。

でもあるていど大きな「三角形全体」はもうほとんど大きくならない。となれば事実上の「椅子取りゲーム」。上に近づけば一つずつ椅子は減っていく。座れないものははじき出される。

 

でも実は、椅子の「形」にも特徴がある。まるでテトリスのように、どんな形でもはまるとは限らない。ちょうど「その形」にあてはまる隙間が空いていて初めて、すっぽりとそこにはまり込む。こっちではじき出されたテトリスのピースが、隣のゲームにすぐはまる、とは限らない。

ご存じの通り、テトリスにはあてはめやすい形、ユーザーが特異な形があったりする。そのままでははまらなくても、90度回転させるとはまる場合もある。

 

はまりやすい形をいかにつくるか、自分がどう回転するか。いや、自分が自分のすべてを知っているとは限らない。自分を「回転させてくれる人」がいれば、その人のおめがねにかなうかもしれない。

 

何はともあれ、再就職が決まったことは祝福すべきこと。おめでとう。

そちらで頑張って、ぜひ「三角形」を育ててください。