普通の日々

起きる。テレビをつける。今日は久々に洗濯日和です…なんて言いながらキャスターがほほ笑む。コーヒーをすすって、パンをかじりながら眠い身体を少しずつ揺り戻す。

 

顔を洗って髪をとかして、身づくろいをして家を出る。

すでにゴミ置き場には、今日の燃えるゴミの日のための袋が3つほど転がっている。早いな。

 

駅までの道すがら、周りの道から人が徐々に集まってくる。駅の改札にたどり着くころには結構な数の人の勢いに。

いつもの時間に電車が到着し、見慣れた顔の人が吸い込まれていく。いつもの駅に、いつも通りに到着して、いつもの階段をいつものように上り下り。

 

何度かの乗り換えを経ていつもの駅に着く。人の波はある一つの方向にズザザッと流れだし、自分もそれに乗って同じ方向に流されていく。

 

会社に着く、打刻する。いつもの時間にいつもの机にたどり着いて仕事をする。

 

仕事が終わる。なんか疲れた。今日何してたんだろ。なにか誰かの役に立っているんだろうか?そんなことを考えるまでもなく帰路につく。

 

いつもの電車に乗って、朝の駅まで戻ってくる。みんな笑顔じゃなくて、みんな疲れた顔をして、それでも自分の駅にたどり着く。

 

ほんの12時間前に来た道を反対方向に戻り、自宅にたどり着く。

靴を脱いで、鞄を置いて、だらりと椅子に崩れ落ちる。

 

 

でも、こんな「何もない生活」が送れることって、なんて恵まれているんだろう。そこそこに働いている限り、そこそこにご飯も食べられる。満員電車でイライラするといったって、命の心配をすることはない。

 

時には電車が遅延したり、時には仕事上のトラブルに巻き込まれたりもするけれど、それでも私は住むところがあり、食べるものが手に入る。

 

恵まれている日々。

ノブレスオブリージュ。