ウサギとカメ(4)

ある日ウサギが言いました。

「カメさんカメさん、あなたは歩みが遅いんですね。そんなに遅いと何かと不便でしょう。はっはっは :)」

そこでカメは言いました。

「いえいえ、そんなに不便なことはありませんよ。実は結構速いんです。なんなら私と競争してみますか?」

「じゃあ向こうの山のふもとまで、競争してみましょうか。ま、結果は明らかですけどね。」

 

そこで二人は早速競争してみることにしました。

よーいドン!

 

ウサギはぴょんぴょんと走って、すぐに遠くまで走り去ってしまいました。あまりに早すぎて、カメなど目にも入らないくらいです。

 

もう全長の3/4も走ったでしょうか、どんなに後ろを見ても、カメなど見当たりません。ウサギは安心して一息入れることにしました。リュックから水筒を取り出し、木陰で座っていると、気持ちの良いそよ風で眠たくなり、ついうとうととしまいました。

 

 

ウサギのそばでリュックがもそもそと動き出しました。なんと、カメがその中から這い出してきたのです。

彼は残り1/4をもそもそと走り切りました。休養たっぷりの彼にとって、その程度の距離は大したことはありませんでした。

 

ウサギが目覚めた時には、すでにとっぷりと日が暮れていました。あわててゴールに向かって走り出したものの、すでに勝負はついてしまっていました。