そしてカメの国

ウサギとカメの競争で、ウサギに勝ったカメ。これでカメという種族の素晴らしさが証明され、種族としてのカメ族の地位が大きな地位を占めることになった。

 

しかし、すべてがすばらしいカメばかりではない。その地位に胡坐をかき、ウサギを下に見下し、こき使おうとする者さえ出る。

ウサギを部下にひきつれるカメ、ウサギをこき使うカメ。

 

そんなことが重なるとウサギは面白くない。

単に面白くないだけではなく、自由が狭められていくこと自体がウサギを圧迫していく。

 

ウサギの中にも強い者と弱いものが出てくる。強いもの、意思を持つものから離れていく。その地域を、その島を出ていくことになる。弱いものが取り残され、その小さなエリアにおいて、よけいにカメとの格差は明確につけられるようになる。

 

 

何かで格差が生まれた瞬間、その種族で、そのグルーピングでの影響が出始める。それがきれいに分裂してしまうこともあるけれど、その匂いや属性は、ぬぐいきれないこともある。

カメ自身が、みずからそれらを是正することができれば、ふたたびすばらしい社会が取り返せるかもしれない。けれど、その座に、その地位に、そのやり方に甘んじ始めてしまう限りは、実際には滅亡が近付いていることの方が多いんじゃないだろうか。

 

格差が見え始めたら、上も下も注意した方がいい。その関係性を維持することに力をかけすぎることじたいが、危険なシグナルだ。

本来必要がないパワーに力を割いていられるほど、最近は甘くないのだから。