削っているのは

ここ何年もデフレ圧力が強くて、モノづくりの現場では、単純にコストを下げる以上の努力をしない限り、売れるモノ、良いモノなどを作り出せなくなってきている。

さらに輪をかけて…というか、たぶんそれがデフレの元凶の一つだと思うのだけれど、デジタル化によって急速にモノづくりが分業化され、スピード化され、価値の低減速度に拍車がかかる。

 

そして、これまで1年で作っていたものは10ヶ月で、1万円で作っていたものは8千円で、1000円で売っていたものは900円で売り出さなければならなくなる。それは材料費を削るなり、工期をけずったり工数を削って、市場に出すことになる。

いや、それまで以上に機能が搭載されていたりしても、単機能としての性能がアップしていたとしても、だ。

 

こうしてモノづくりの現場は、一人に降りかかる仕事の量がぐっとアップするものの、時間は増えず、効率を上げることを迫られる。

いままで一息付けていた仕事も、そんな暇もなく没頭し続けなければ成果を出せなくなる。

 

そして、毎日フラフラになりながら、仕事をこなしていく。

 

削っているのは、「自ら考える時間」かもしれない。目の前の事をこなすのに必死で、そこに横たわる事を深く考えることをしなくなる。

そしてそういう人たち、考えることを徐々に忘れた人たちこそが、使いやすい人たちとしてたまっていく組織が生まれたら。