それは作戦から始まる

結果の見通しがついていない時。たとえば初めて○○をするという時。

はじめて学校に向かう初登校日、習い事の初日、文化祭の舞台初日、仕事でのクライアント向けプレゼン勝負の日。なんでもいい、初めての事に挑むのは、たとえどれほど準備をしていたとしてもドキドキするもの。ましてや、それがうまくいくか行かないかが全く見通しがつかないとしたならば、なおさらの事。

 

就職戦線は昨今、ネットの普及も相まって、昔では考えられない数のエントリーが可能になっている。結果、どこの企業もほしいと思われるような者はいくつもの内定を勝ち取り、そうでない者はひとつも内定を得られない。いや、結果的に内定をいくつももらったところで身体は一つ。結果的に内定をもらったうちのいくつかには「ごめんなさい」をしなければならない。企業側も企業側で、そうした流出は多少見越してはいるだろうけれど、それでも予定数を確保するために、さらに追加で求人募集なんて場合もあるだろう。

 

新卒ならまだいい。中途採用になるとさらに混沌とした世界が広がる。

その人が持つスキルが、キャリアの見通しが、その企業がイメージするものとある程度の一致を見なければ、まず採用されることなどない。さて、そんな企業は見つかるのだろうか?

ある意味、わらの山から針を1本探し出すような苦行になる可能性だって十分にあり得る。アベノミクスとは言われて景気が良いように勘違いしがちだけれど、世間の風は冷たい。

 

そうした中で、仕事を探すというのは、ある意味先の見えない船出をしたに等しい事。「しばらく寄り道して、せっかくの気分転換に旅行に行く」なんていう心持ちになれるには、よほどの余裕か、よほどの蓄えか、よほどのスキルに自信がない限り、そんなことはなかなかできそうにない。いや、ノー天気や楽天家ならいいのかもしれないが、もしもそうして旅行に出ている間に、二度と来ないかもしれない良いチャンスが通り過ぎていくかもしれないと思うと、そうそう安易な戦略は取れない。

 

でも、それも運命、ふつうならまずは取得できないであろう長期休みとして、このチャンスを生かそうというのも、作戦の一つ。なーに、良いチャンスが万一通り過ぎたとしても、それも人生、なんて気楽にやり過ごせるくらいなら、誰も苦労はしない。

 

ましてや、離職した後に再就職できるまでの時間は、勝手に設定できるわけではない。見つからない場合には、ずーーーーーっと見つからないことだってありうるのだ。

その間にスキルは落ち、賞味期限はどんどんと超えていく。再就職の道は厳しい。

 

でも、確かにそんな時間を持てることはまずない。そこで大きな時間をどう使うか。最初にきたチャンスが、最高のチャンスであるとは限らない。二つ目に来るチャンスが最高のチャンスだということだってもちろんありうる。まさにそれこそが作戦、戦略。その使い方ひとつで、その後が変わる。それからの道が開けたり、閉じたりもする。