使いこなせる人

料理をすれば生ごみが出る。包装していた袋やシールのみならず、野菜の切りくずやちょっとした形の不揃いな切れ端が捨てられることもある。

 

でも、一工夫できる料理人なら、それらを細かく切って炒め物の具にしたり、そこから出汁を取って、余すところなく使いこなせる人もいる。

十分にそこから引き出せる力を引き出せる人。

 

 

別に料理人や主婦でなくても。

職場で人を取りまとめる「長」と名のつく人がいる。課長や部長、部門長。そこに所属する人は、割り当てられた仕事をして、成果を出していくのだけれど、たまにそこに所属している人をうまく使えない人もいる。「長」なりにいろいろと工夫はするのだろうけれど、成果に結びつかない。当人は当人で、自分の得意なことができない、成果が上がらないことで焦ったりもする。

 

そしてそういう人たちは、いわゆるリストラ対象となったりする。アベノミクスなんて「言葉」は先行してみたりもするけれど、根本的に人を増やそうという社会的傾向は見えてこない。いかに生産性を上げるか、これまでの人数でより多くの仕事をこなすか、もしくはこれまで以下の人数で、今までと同じ仕事をこなしていくか。

縮小している業界では、どうしたところで後者を選びがちになる。

 

そんな時、「切れ端」となって、工夫を引き出せない上司に当たってしまった人は、すぐに「ゴミ箱行き」になることもある。だが、よりよい上司、工夫ができる上司に当たった人は、より良いその人の力を引き出して、時には新しい事業を起こしたりするという逆転劇を見せたりもする。

 

人の力がゼロになることはない。それをいかに引き出せるか、いかに力を引っ張り出すか。同じ素材でも、料理する人が変われば一品増えたり、一工夫された料理ができるのと同様、ちょっと変わった試みが、新しい価値を生むことすらある。

 

それはあなただけが悪いわけではない。今問われるべきは、マネジメント力のなさが背負う責任は、小さくないんではないんだろうか?