質問

「何か質問はありませんか?」

 

仕事柄こう聞く場面が少なくない。しかし、まずもってして鋭い質問が返ってくることは、非常に少ないのが現状。

 

簡単な「質問」は、いくつか帰ってくる。それは場合によっては相手がこちらの説明をきちんと聞いていなかった証でもあり、もうひとつはこちらの説明がうまくなかった/説明が練られていなかったがゆえに誤解を生じた場合。

 

良い「質問」をしようと思えば、それについて結構深く理解している/しようとしている必要がある。今聞いたばかりの事に対して良い質問ができるためには、よほど集中して聞いているか、自分ですでに持っていた全く違う分野の知識が概念的にフィットしたことによって、一気にその分野の知識を吸収できるようになり、そこに置いて「差異」について言及する、なんてのがありがちなパターンか。

 

この「概念化」。かなり重要な能力だけれど、こうすれば獲得できるとか、こうやって獲得するということが語りにくい力だったりする。これをこう見立ててなんて形で表せればまだしも、抽象概念どうしを概念としてその相似形で理解することができることに気付くのは、なかなかの知的作業が必要であったりもする。

でも、世の中には頭のいい人はいくらでもいる。舌を巻くくらいの頭の良さ、控えめにしていても、その言葉の端々にそれらがあふれてくる人がたまにいる。
そして、そういう人たちの質問は、とても「簡単」な事を聞くのだけれど、とても「本質」をついていたりする。難しい必要はない。難しくとらえる必要すらない。

 

世の中、バカに見られないでいよう、ということほど馬鹿な行為はない。素直に聞いていけば、分からないと言えれば、それだけでどんどんと本質に近づけるはず。