比べて初めて

食べ物のおいしい季節。ビールにせよ、ワインにせよ、秋のさまざまな味覚にせよ、おいしいものがたくさん。

昔はおいしいものを一緒に食べに行く友人がいろいろ付き合ってくれたけれど、最近はめっきりそうした機会が減ったかもしれない。

 

よほどの食通ならともかく、そうでもない私は、やっぱり食べ比べ、飲み比べをしてはじめて、「この味」と「あの味」の違いがわかる。香りが高いのか、それとも後味がすっきりしているのかなどなど、香り、風味、噛み応え、舌触り、味等々、さまざまな違いがある。

1000円と10000円のワインの香りの違い、自宅でドリップで入れるコーヒーと、お店のコーヒーの味の違いは、はっきりとは語る自身がない。
しゃきしゃきしたおいしい食材、すっきりとした口当たりの良いお酒など、明らかに違いがわかるものも確かにある。カウンターで出るお寿司と、スーパーの680円のパックのお寿司の味の違いは分かるけれど、でもそれは(感覚的に)違いにすると、数十倍の違いがあって初めて、あぁ違うと語ることができる。数倍の違い程度じゃ自信を持って語れない。

 

そういうものであったとしても、食べ比べて、飲み比べてみればやっぱり分かったりする。違いがここにあることがはっきり分かれば、「違う!」と理解するのが早い。それはそのまま「価値」に直結する。

価値をわかってもらえなければ、その新しい物に飛びつく意味はない。
…とするなら、「新しい物」だけを渡すのではなく、「古い物」と「新しい物」を一緒に渡したり、手元で直接比較できるようにすることこそが、価値を理解してもらう分かりやすい方法。

「新しい方」だけを手にしたところで、なかなか分かってもらえないもんなんですよ。