見えていることの向こう側

相変わらずプライバシー情報が漏れた云々、企業が謝罪する、お詫びをするなんてニュースが飛び交う昨今。プライバシーがことさら重視されるようになって10年ちょっとかな?

ちょうど10年位前、当時社内で、そうした内容を検討せよという事案が持ち上がった。当時の時点でプライバシー条項がしっかりしていたのは、たしか欧州ではなかったかなぁと。そうした欧州ベースで、アメリカ、そして日本をカバーするような条項にするには、サービス許諾や、アプリケーション仕様許諾にはどうすべきか?なんてのが話題に。


その数年後あたりから、日本では学校が、自治体が、電話番号簿すら配布できなくなり、事実上分断され始める。いちどどこかに提供して、そういうデータ化されてしまうと、やばいぞ!というみんなの意識の高まりを、結果的に補強したというところもあるだろう。実質的には、すでにデータ化されていたであろうこと、であったとしても。

 

だが一方で、そうした皆さんの多くは、「クレジットカード」「ポイントカード」をお持ちではないだろうか?いまどきの日本で、そうしたカードを1枚も使っていない/もっていない人は、よほどのポリシーを持って拒否していない人でないかぎり、まずいないと思う。


様々なチェーン店舗において登録を勧められる「ポイントカード」。いろんな店舗、いろんな会社サービスと一体になっている「クレジットカード」。

クレジットカードにおいては、確かに、大金を持ち歩かずにすむというメリットの大きさはある。昨今、ネット経由でショッピングする際でも、便利に使わせてもらっている。自分の購買履歴というプライバシー情報がクレジット会社に流れるものの、そうした使い方の癖などもとらえて、最近は、ちょっとした買い物をすると電話がかかってきたりもする。


ポイントカード。こちらはその店で/チェーン店で品物を購入すると、○%分還元するよと言うサービス。だが実は、このサービス、そのポイントカードからの情報提供範囲は注意しておいた方がいい場合もありそうだ。

複数社がポイント還元されるカードであればあるほど、あちこちでそうしたポイント還元がなされてお得感はある。「便利だ」ととらえられる反面、裏を返せば「私が、それらあちこちの店で、いつ、何を買ったという購買履歴を、毎回、数%という小金で売っている」ともとらえることができる。あなたの購買指向、パターンを、毎回数十円、数百円で提供している。

納得して使っていればまだいいものの、そうした情報が、どこでどのように使われているのか?そのポイントカード利用者のほぼすべてが納得している…とはとても思えない。


保険契約の際の約款を誰もが実質的に読んでいないのと同様に、こうしたポイントカードにおける約款をよく理解せずに使う。そしてプライバシー情報は、けっこうおおっぴらに開示している現実。

その一方で、メディアで取り上げられるようなプライバシー情報の漏洩に関しては、ピリピリとし、保証が安い云々と騒ぎ立てる人もいる。「ほんとうに、怖い怖い」といいながら、お昼の食材を買う際には、別の会社のカードでプライバシー情報を…。


簡単に知りえたことに関しては、過剰に反応するけれど、

実は思わぬところから情報は…。

その結果、頭隠して尻隠さずなんて状況に陥っていること。

やっぱり、自分が学んで、自分で守ろうと言う意思を持たないと、やばい状況になってきている。


どこまで開示するのか、どこまで利便性とのトレードオフととるのか。

文句の言いやすいところだけ声高に叫んだところで、本当にやばいところは、ひっそり静かにデータを捕獲している。