過剰品質

以前の職場でこのようなやり取りがあった。

「これ、過剰品質じゃないの?この値段で出すんだから、やりすぎだよ」

 

以前の日本なら、当然のことながらこんな言葉すら飛び交うことはなかったのではないだろうか。しかしこの20年ほど、東南アジア勢に製造を任せるようになってからこっち、日本で作るモノづくりは、東南アジア勢の一角として、「価格競争を迫られる」ところに落ち込んでしまった。

ただし、言うまでもなく、品質についてはそのコントロールはとても難しい。
そもそも、「品質を上げる」というのはどういう事か考えたことがなければ、「品質を上げない」という行動はとれない。


ではどうやって品質を上げているのか?多くの方は「検査?」と思う方も多いだろうが、一般的にはそうではない。検査で上がるのは「不良率」であり、要するにラインで見つかる不具合品の量が増えるだけだ。外から見れば「品質」が上がっているように見えるかもしれないが、内側としては「品質」は以前と変わらず、一個当たりのコストが増加しているに過ぎない。

というくらい、品質はどう作るか、どうコントロールするかは難しい。それを「過剰だ」というのは簡単だけれど、では思ったレベルにあてこむにはどのようにすべきか、どのような手段を取るのかは、組織力が試される事象でもある。

ある意味、品質を上げるための施策は、とにかく改善し続けるべきだ。だが、ある範囲に品質をあてはめるためには、とてもとてもオペレーションが難しい。

 

そもそも、そういうことをする必要はあるんだろうか?
そういう考え方が、全体としての品質低下に向かっていないだろうか?