言葉の力

最近の音楽プレーヤーでは当たり前だけれど、大量に記録されている音楽の中から、シャッフルしていくつかの曲が流れてくる。自分の手持ちの音楽なのに、以前から聞いているはずの音楽なのに、何か新鮮な「当たり」があることもある。

 

仕事を終えて帰宅の途につき、最寄駅で電車を降りる。すでにピークは越えて人影は減りつつある。駅前のスーパーもそろそろ店じまいを視野に入れ、のぼりをたたみ始める。店先の自転車もまばらなそんな12月。

駅の改札を出た人は右へ左へと振り分けられ、家路へと急ぐ。自分もテクテクと交差点の方へと進む。

信号は赤だった。すでに行き交う車は少ない。渡っちまうか?そんな思いがよぎった瞬間に、ある曲が耳元で奏でられる。

あぁ懐かしい曲だな。

いつもはインストゥルメンタルがメインで、あまり言葉を意識しないけれど、久々に聞くこの曲がそんな言葉の力を思い出させた。

 

ひとつひとつ紡がれる言葉に情景が浮かぶ。この曲を聞いていたあのとき、こんな状況のあの瞬間。何か心の中に突然こみ上げる物が。

あれっ、俺何でこんなこと考えてるんだろ。

悲しいかなふと我に返る。感情が膨らむことを恐れて、冷静になろうとしている。でもたまにはこんなのもいいんじゃないかな。社会人として感情のまま走ることがほとんどない日々。だけど、ふと感情に訴えかけられ、それに心が反応する。

そんな瞬間があっても悪くないよね。

 

別に何が幸せなんて誰に規定されるものでもない。誰かの評価で幸せが決まるものでもない。すこしリラックスして、少し自分を解き放って。

 

久しぶりにあのアルバムを聞いてみよう。