忘れてしまえた事

「忘れる事が出来た」という価値は、わかりようがない。

なぜなら、その価値に気づいたということは、まだ忘れていないから。


もう思い出せないほどになって初めて、本当の価値があるのが、忘れることが出来た価値。痛みや、悲しみ、辛い思いが癒えていく。
 
よく言われるのが、時が癒してくれる、という言い方。
これは多分、忘れることが出来た価値が、半分くらいあるんじゃないだろうか。
時が癒してくれる残りの半分は、「今から振り返ってみれば」癒されている事。それは、当時よりも認識能力が上がっていたり、より良い環境に進化している自分があってこそ語れる話。「あんな時代もあったよね(笑)」というのは、「あぁ、あのころに戻りたい…」と対になっているんだろうし。
 
忘れてしまった事の価値。
自分では測れない、でも大切な今が成り立っている、その礎となっている価値。
忘れる。素晴らしい人間の能力。