桜気質

すでに一部ではピークを超えて、ハラハラと散り始めているさくら。この土日あたりで楽しもうかと、京都に多数の観光客が押し寄せている。ホテルの宿泊費が異様な高騰を示しているほどの過去に例のない状況。

桜の花咲くころは、毎年のことながらちょっと狂気じみた雰囲気すら醸し出す。別に特別なところまでいかずとも、皆さんのお近くにも、ひっそりと、しかし優雅に咲いているさくらがあるだろうに。

 

桜は昔から言われているように、パッと咲いてパッと散る。まぁこれはどちらかと言うと、ソメイヨシノという品種の拡大にのっとって広まったようなところもありそうだ。桜前線などと呼ばれているのも、ソメイヨシノ前線だからこそ予想できるわけで。

咲くとなったら一斉に咲く。そしてほぼ一週間から十日ほどでハラリと散ってしまう。まさに日本人的気質そのもの。

 

東にいいものがありますよと宣伝されると、皆でザザァーと押し寄せ、あぁこれだこれだと一通り見て、サァーと波が引くように人のピークが過ぎ去ってしまう。皆が見に行くから私も。

商売をする方からすると、そんなに一度にいっぺんに来てもらっても対処できないですから。ピークに向けて無駄な設備人員を抱えられるほど余裕もないし。そしてにぎわうのは年に十日ほどだと目も当てられないし、なんてことに。それよりも、毎週そこそこの量の方々に、絶え間なく訪れてほしい、見に来てほしい。

何かを提供する方は継続して楽しめる何かを。

価値を求める方は、人と同じ楽しみ方ではない何かを。

 

でも実態はと言うと、一斉に来て一斉に去る。何かの宣伝で一気に盛り上がり、反動で一気に盛り下がる。短い期間でピークが過ぎる。

 

桜は嫌いじゃないけれど、こうした気質には疑問があって。

「世界に一つの花」的考え方を広めよう、「あなただけの価値」を認めようと歌いかけながら、一向に行動は変わらない、皆と同じ価値観、行動。それ以外の楽しみって本当に無いのかなぁ?もっと楽しみっていっぱいありそうなのに。工夫出来そうなのに。