星の一生

夜空に瞬く星達の一生。子供の頃に図鑑で見たことがある。
星が年老いて、大きくなって、やがて爆発する。

そこに含まれていた様々な成分は、細かい小さな粒、チリとなって宇宙を彷徨う。
その幾つかが集まり、集まることで雲の塊のようなものになり、また星へとなるべく周りの成分を引き寄せる。


大企業が喘いでいる。一頃言われていた日本を代表とするメーカーが、あちこちでおかしくなり始めている。
その企業が存続し続けるためには、そこまでブクブクと膨れ上がってきたぜい肉を落としてスリムアップが必要に。ということで、施設を切り売りしたり、グループ子会社を切り離したり、場合によっては社員を整理する。
何の準備もなしに、「あなた、明日から仕事ないから」と言われてしまうと精神的ショックが大きいが、会社の状況などは中にいれば見えるもの。来るかなぁと身構えておくのも自分を色々な意味でも守る術。

いざそうなった時に、私を含め、私が当時懇意にしていた社員達の多くは、その会社をあとにした。次の見通しがすぐに立つ人もいれば、ちょっと時間をおいて、これまでの疲れをとった上で、次に挑む人もいる。
だから、当然のように再就職している人は多いし、今までではできなかった新たな仕事に挑んでいく人もいる。自分で会社を起こしたり、全く違う分野に挑んだり、今一度学び直したり。再就職は何歳までにという壁の話は、あまり聞かなかった。少なくとも私の知人周りにおいては。

こうして見ると、あのタイミングで辞めた人たちの多くは「仕事を無くした人」ではなく、その会社が斜陽になることで、その人達に回せるだけの仕事を、会社が確保できていなかったからに他ならない。当人ができる/できないは、あまり関係ないのだ。

だから多くの私の知人は、その後べつの仕事や新しい仕事で皆輝いている。もちろん、仕事として大変な局面を迎えていたり、悠々自適に仕事を回していたりとひとそれぞれだけれど。

大きな会社が、自分たちの裁量で使い切れなかった優秀な人材を吐き出すのは、まるで星の新たな誕生のようではないかと。優秀なコアが中心となって、次の新たな輝く星になればいい。