凄まれる

「バカにすんなよ。」「舐めんじゃねーぞ。」
 

先日、ある仕事先で、取引先の女性に凄まれた。

繰り返すが女性の口から出た言葉だ。ビジネスには似つかわしくない単語が並んだ。
相手もそれなりに周りを気にして、私と当人の二人になったのを確信してからの暴言だ。
 
とは言っても、そんじょそこらの聞いたことのないちっぽけな会社ではなく、誰が聞いても知っている、某財閥系グループ会社職員だ。正社員かどうかは知らない。が、そこで働いているからは、その会社の信用を背負っているはずだが、そこから出てきた言葉が、男勝りの暴言だったことに驚いた。
 
こちらから先に暴言を吐いたりしたならともかく、彼女は冷静に周りを見計らい、私と一対一になったのを確認して言い放った。明らかな確信犯。
 
こちらは男性。相手は女性だ。
多分、性別が入れ替わっていれば、ただ事では済まされない事になっただろう。
やる気満々である。
 
またこちらは小さな会社だ、相手は大きなグループ企業の一員だ。どちらがどういう立場なのかは推して知るべしであろう。
 
 
当然ながら、会社同士の協議になったが、その証拠の録音録画が残っているわけもなく、口頭では上司に対して、その女性が、自分に都合のいい言い訳を上司に報告するのは目に見えている。
それが、この企業グループの中で起こったことに驚いた。
 
はぁ、この人以外の人は良い人そうに見える人が多いのだが、やはり社会に出るといろんな人がいる。見かけではなく、付き合い始めて初めてわかる細かな末端。人はしっかり選ばないと、というのを、痛いながらも確認させられた事件だった。
 
会社同士の協議では、別段どちらも捌かれることなく、淡々とその後も取引が続いている。わたしの仕事の関係で、その相手の女性が出てくるところもある。が、もう、以前のような無言の信頼関係はありえないだろう。何をこわすのか、何が壊れるのか。そこまで覚悟していたのかいないのか。短絡的犯行というか、我慢が効かないというか、大人の対応ができない大人が増えているのかもしれない。それができないほどに、余裕を奪われているのかもしれない。