賞味期限と決断

2015年の年末、途絶えていた一つのテレビ番組が復活した。

M1グランプリ。お笑い界のトップを競うというその番組。

いろいろと細かなルール改正もあったようだが、視聴者の期待をはらんで、今一度再開された。

 

そもそものM1グランプリは、出場するためのルールにこのようなものが設定されていた。「コンビ結成10年以内」。これは厳しいようではあるが、そもそもコンビを組んで10年も経っているのに売れていないのならこの商売は向いていない。向いていない仕事に携わり続けるのではなく、生きていくために正しい道を選びなおせるための、若手に向けての最後通牒として、このルールが作られていたらしい。

ある意味、「選択には賞味期限がある」ということだ。

 

別にこれに限らない。

本当にその世界のトップにさせようと思ったら、たとえば、ピアニスト、フィギュアスケーター、バイオリニストなどなど、少なくとも○歳から習い始めていないとね、と言われるものは少なくない。

 
ただこれは残酷な事でもある。そこでその選択肢を選ぶ場合、「その道に入ろう」とそこに飛び込んでいけば、あとでやめるのは、まず大抵、いつでも辞められる。
しかし、「いやだ、やりたくない」と選択した瞬間に、実はその選択肢は二度と自分は選べなくなる、という覚悟をすると言う事と同義。ということを、どれだけその選択する場面において意識しているだろうか?そもそも小さい子供であることが少なく無いその場面、それを迫る大人だけでも意識できているのか?
それは決断に他ならない。もう選べなくなるけれどそれでいいの?と。
 
多くはプロになることなく、つづけたとしても趣味の世界で、自分の楽しみとしてやり続けたりする。
プロになりたいとつづけたとしても、そう意識する者たちの間での競争に勝ち抜き、その中でのトップ一握りに入って初めて、職として全うできる立場になれる。
 
いつも決断。
 決める、にはエネルギーが要る。