機能不全のシステム

日本は、世界でも有数のロボット国でもある。単純労働などを順次機械に置き換えることで、生産性を上げ、より良いものをより安く、大量に生み出すシステムを構築してきた。

人々はそれにより、より安いモノがより高い品質を維持された状態で日々供給される、そんな状況を享受してきた。

 

が、その背景には、単純労働が次々に機械化されてきたことにより、人々の単純労働が、機械によって追い上げを食らい、場合によっては機械に乗っ取られるという状況を生み出している。

 

もちろん、それにより得られたメリットを、人々皆で平等に分け合うという環境になっているとするならば、誰も文句は言わないだろう。だが現実はと言うと、そうして個別最適してよくなった、効率が上がった部分のメリットは、「効率を上げたその部署、その企業にのみ還元されるだけであり、その他のところには拡散していない」というのが現実。これにより、グローバルに置いては、どんどんと仕事が奪われていく状況が生み出されてきた。

そう、「皆で享受する」というシステムが、民主主義、資本主義経済には欠けているように見える。だから、競争に買った者は多少良い思いをするけれど、負けた者は冷や飯を食うという状況が生み出される。

これも、世界全体が底上げされているような時代であれば、部分的に冷や飯を食らいはするけれど、まぁなんとか我慢できる範囲でお金が回っていたのかもしれない。

しかし昨今はというと、全体の底上げ基調、いわゆる世界経済がインフレ傾向、景気が上向く傾向にはなっていない。そんな中で部分最適化されてしまうと、冷や飯を食らった者は、とたんにどん底に落とし込まれることになる。

 

もちろん、そういう状況を生み出さないように、助ける力を働かせるのが「政治の力」だったりするはずなのだが、言わずもがな、見ての通り。

 

世界的な底上げ感がない中、部分最適化、国や、地域、会社や部署にだけ最適化する形で進んでいていいのか?

…といっても、そんなグローバルリーダーになれるような器は、少なくとも今のこの国には見当たらないか。そんな中で、彼の国では、そうした不満を強力に是正するつもりに見える大統領候補が、民衆の力に支えられて、アレヨアレヨと言う間にあと一歩のところまで来ている。全世界的に見ると、そんな極端な!と見える事であっても、現場の要望として汲み取れば、その通りなのかもしれない。全世界的に、「空気を読んできた国民」としては、えぇ?と思う事はなくはないけれど、でも、正しく不満が是正されるシステムが機能してる、と捉える事も出来るんだよね。