言葉のストライクゾーン

社会人になってそこそこの仕事ができるようになると、言われたことをこなすだけではなく、自ら誰かに説明したり、場合によってはお客に向けて話したりして、周りを動かす必要が出てくる。

世間では「プレゼンテーション能力」なんて言われたりするのだが。

 

話は全く関係のないところから始めるが、野球においてバッターがボールを打つ際には、ストライクゾーンというのがある。ここに来たボールは打ちやすいものなので、うちに行くしかない。見送ったらストライクがとられる。

会話や説明においても、実はこの「ストライクゾーン」がある。野球の場合は打たれないようにしなければならないが、プレゼンの場合には、相手にヒットしてもらわなければならないため、積極的に、この「ストライクゾーン」に球となる「言葉」を投げ込まなければならない。

 

例えば何か新しい商品やサービスをお客に説明する際。そのお客のみならず、だれもが知っている内容を丁寧にと思って説明したところで、「くどい」と思われる。そんな知っていることは聞きたくないと思われているのだ。これは相手の「言葉のストライクゾーン」を外している。

逆に、相手は知っているはずとして、専門用語が羅列するような説明をズラズラとしてしまって、相手にとっては何を言っているのかさっぱりわからん、という状況も、これまた「ストライクゾーン」を外している。要は分からないのだ。説明不十分。もちろん、あぁ、そこまでわかっているならと、スピーディーにはなしがすすむこともある。これはこれで「ど真ん中」だったんだろう。

 

だから、相手の「言葉のストライクゾーン」にフィットする説明方法が必要になる。相手に響く説明レベルを、相手の理解状況を見極めながら、調整して、時にはよりわかりやすく丁寧に、時には専門用語を使ってよりスピーディーに説明できるような対応が必要になる。

となれば当然ながら、場合によっては相手を事前に調べたり、レベルを確認したりするのが良い準備。相手が期待していることを理解し、相手のそれにおける知識を値踏みしながら話を進める。

 

と、ここまで丁寧なマニュアルはふつう作れないからこそ、臨機応変な対応ができる人材発掘をしなければならないという現状。また、こうした対応ができる社員を育てなければいけないという現状。これをいかに伝授するか。要するに「バッターに応じた、ストライクの投げ方」なわけだな。