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我慢比べ

理屈通りに物事が動けば、という大前提の下。

人手不足なら、ほかの職に就いている人をひっぺがしてでもこちらに取り込むために、給与をあげてこちらに取り込もうとする。これが本来の人手不足状態。だからこそ、微々たるものではあるけれど、アルバイトの時給がジワリと上がっているのが昨今の実情。

 一部、外資系のコストコでは、地域の一般的な自給値段などお構いなしに、相場よりも何割も高い時給を提示して自分たちのほしい人材を集めているという例もある。まさにセオリー通り。

 だが一般的状況として、人手不足だが給与はあがっていない。いや、雀の涙ほどの変化はあるかもしれないが、本気で人集めがしたいというところまで給与に変化はない。

 

国は景気上昇を求めている。これは言ってみれば、緩やかなインフレを期待しているに他ならない。景気刺激とは、度を越さないインフレだと言い換えればわかりやすいこと。デフレは困る。度を越えたインフレも困る。適度な、緩やかなインフレは起きないものかと。
 
 
大企業の内部留保が莫大に積み増されていることが時々ニュースに上る。株主還元に走る会社もあるのかもしれないが、そもそも法人も余っている金をどのように使うのが、自分たち会社にとって、将来に向けての一番良い使い道なのかがわからずに内部留保が積みあがる。
企業は、将来の危機に向けていくらかの積み立てがほしい。保障をもっていたい。が故の内部留保。ただし、これまでの右肩上がりの社会では、「お金」のままで持っていたところで、その価値が目減りするばかり。だから先行投資を行ったり、新サービス、新技術開発にいそしんでいた。が、それも「右肩上がり」が前提。
すでに「右肩」が上がらなくなっている、とすると、「お金」で持っているのが、逆に一番の価値を保持できる携帯にすらなりえる(たとえばデフレだ)。だから内部留保が積みあがる。社員に還元されることなどほとんどなく、「将来の荒天時の蓄え」のため。
だから社員たる個人には滴り落ちてくる気配など当然ない。トリクルダウンなど無いのはすでに経験済みの事実。
 
どうして企業は内部留保を吐き出さない理由はいくつもあるだろう。そのうちの一つが「少子化」なのは否めない。国の人口が減り始めれば、内需の人口ボーナスによる拡大はまず見込めない。それに対する当面の処方箋すら見えない、という意思をもって?いや、根本的な対策が見つからないので、まずは「出」を抑えるところからという形で、内部留保が積みあがっている企業が少なからずあるに違いない。
 
しかし、それとは別のところで消費拡大、景気浮揚を訴えるためには、庶民は金を使ってもらわなければ困るという事情もかかえる。庶民が使ってくれなければ景気のきっかけにはならないのはよく理解している…のだが、うちの社員の給与はそうそう上げられない。
ジレンマとはまさにこのことではないか。企業は給与は上げられない。が、そうして雇っている社員は、社会構成員という立場から言うと、お金を使ってもらわなければ困る。
企業か、個人か、「そっち」が先に何とかしてくれるのを待つ、要するに我慢比べをしているというのが現実ではないのか?
 
そしてたぶん、個人の、それも弱いところから、それに耐えられずに低い賃金で、厳しい労働条件で飲まざるを得なくなって、苦しいながらも働かざるをえず。それが今の状況ではないのかと。