コピーライティング

今でこそみんなが当たり前に感じている広告の一言。昨今は、マンション広告を揶揄して「マンションポエム」なんて言う人もいるけれど、こうしたコピー、一言で表されていることによる力は実は強大だ。

 

つい先日こんな記事が出た。

 

www.mag2.com

 

常識的に考えると、「自転車放置禁止場所」などと書くだろうところに、今回は、「自転車捨て場」と書いたわけだ。

 

これは、通常なら、「自転車を放置する奴ら」に向かって、「ここは置いてはいけないと注意を促し、行動を是正させる」という考え方から発展して、自転車を放置する奴らにももちろん伝えるメッセージはあるものの、それに加えてさらに、「その状況を見ている第三者」に向けて、「ホレッどうですか」とばかりに第三者たる彼らを変貌させる可能性のあるメッセージを掲げることにより、当初目的としていた「自転車を放置する者」が、「そいつはたまらん!」と自分たちの行動を変えることにつながるメッセージを放っているということ。ダイレクトでは無い非常に狡猾なメッセージングだ。

 

これは考えれば考えるほど、非常に示唆に富んでいる。この手法をフレームワークととらえることができるなら、実は様々なことに応用が利くかもしれないとさえ思えてくる。

 

実は全く同じではないものの、他にも、これに近い考え方はあった気がしている。

たとえば「珍走団」。「暴走族」と言われていた爆音を響かせて走り回る輩にたいしてつけられた呼称だけれど、この「暴走族」という言葉自体が「ワル」や「かっこよさ」を感じさせていた…ということ自体が、当人たちのある意味、社会反抗的プライドにもつながっていた。

とすると、そもそもそのネーミング、呼び名が持つ印象自体をかっこ悪いものに取り換えることで、「そんなかっこ悪いこと、やってられっかよ!」という方向にできないかといった考え方、それがネーミングとしての「珍走団」ではないだろうか。

 

対象の相手に対して、直接的に真正面から対峙するのもやり方。だがそうではなく、第三者を介して、その見知らぬ第三者の印象、行動などを利用して、対象者の行動を制御していこうという考え方。

 

こうしたコメントを集めるだけでも、面白いかもね(笑)。