過去

過去がない人はいない。

でも、それが「いい過去」なのか「悪い過去」なのかは、人それぞれ。

それとは違う軸で、「思い出せる過去」と「思い出せない過去」がある。

 

人間の力の一つに、「忘れる」という力がある。これまでの経験してきたことすべてを忘れずに覚え続けることができれば、便利な側面もあるだろうけれど、どんな嫌なことであっても、ずっと覚え続けなければならないというのはつらい。

もしかすると「忘れる」という力は、脳科学的には、「記憶」はされているけれど「引き出せない状態」なのかもしれない。が、そんなことはどうでもいい。とにかく、忘れてしまえるというのは、とても大切なことだ。

 

ただ、「忘れてしまいたい事」だけが忘れられるのではなく、「忘れたくない事」であっても、やがて忘れ、消え去ってしまう。場合によっては、その後の自分の体験で、記憶を塗り替えることだってやってしまっているんじゃないだろうか。

過去、きっと無いと寂しいもの。でも、あればあったで面倒なもの。

だから人は都合のいいものだけを残したがり、都合の悪いものは消したがる。

 

でも、「都合がいい」も「悪い」も、それも一時の価値観でしかない。

たいてい、そういった価値観は時間がそれらを丸く包み、どれもが味わい深いものに仕上げてくれるんだろうから。すべてが笑って思い出せる時を目指して。