追い上げられて

その昔のコンピューターはメインフレームなどと呼ばれ、巨体が鎮座ましましていた状況。巨大なエアコンが効いた「計算機室」丸々一部屋が、彼らの所在場所だった。

それもだんだんと小さくはなっていたんだろうけれど、これをいっきに打ち崩したのが、ワークステーション。小さな体に強力なパワー。今は亡きサンマイクロシステムズなんて会社が一気にのし上がってきた。

が、それもつかの間、(皆さんが今使っているような)パソコンが、ワークステーション並みに力をつけ始める。1995年のWindowsも95以降、ワークステーションなんてのを蹴散らしはじめた。

パソコンはパソコンで、ワークステーション以前からジワジワと8Bit, 16Bit, 32Bit, 64Bitと性能をあげて来た。なのでもうパソコンさえあれば…と思いきや、この下剋上の流れは途切れていない。

「デスクトップパソコン」が主流だったのが、今では徐々に、「ノートパソコンでもいいんじゃない」とどんどんと筐体が小さくなり。さらに「ノートパソコン」自身も、「タブレット」に追い上げられている状況。そしてその「タブレット」も「スマホ」に追い上げられている現在。

 

時々ネット上に、パソコンやスマホを分解した写真が掲載されていたりするのを見たことがある方もいるだろう。もう、ノートパソコンも、スマホも、中に入っている「もの」の大きさはさほど変わらず。バッテリーの大きさ、OSの違い、UIの違い(キーボードがあるかないか)くらいの差しかないという状況に。

 

ワークステーションにより、メインフレームという市場は事実上消え去った。パソコンの強化により、ワークステーションという市場も、事実上消えた。

将来、全くゼロになるとは思わないが、たぶん近い将来には、「パソコン」という今までの規模の市場は消え去り、そしてその次の強襲がまたやってくるんだろう。それがたぶん「ウォッチ型」をはじめとする「身に着ける」といった意味の「ウェアラブル端末」の時代。どんどんと高性能化、小型化することで、昔の巨大な「計算機」が、身に装着する程に小さく、高性能になってきている。

 

この世界、いつもいつも下から追い上げられ、上に成長する/延びるスピード、コストがかけにくくなり、逃げ切れなくなって、市場が切り替わる感じ。

別にこれ、コンピュータの世界だけの話ではなさそうですけどね。

今やカメラメーカーという精密機器メーカーも、いよいよリストラが始まった。でも、上に逃げられなくなった時の「逃げ方」って、メーカーには難しいんだよね。

 

僕らは「どんな世界」を作りたいのかなぁ。経済を何とかするという直接的な希望もわかるけれど、「なりたい国の形」として、みんなの希望の方向を示せば、自然とそれらが全体を持ち上げる力になるはずなんだけど、そんな事が語れる政治家だとか、政治家のブレーンはいないのか。希望の未来が描ける人、希望の未来が語れる人。