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裸の王様の国

このシステムを導入すれば格差が増大する。この仕組みは格差を拡大させる。そう予想されるものはいろいろあり、だからより良い仕組みを、システムを考え抜き、検討し、議論を重ねた上で社会システムとして組み込もうとする。なぜなら格差の増大は究極的貧困を生み、結果としての社会負担が増大しかねないから。

 

だが、絶対にすべてにおいて完全な平等…というのもまた幻想。そんな夢物語だけを追い続けて、完全でなければ導入できないというのは、結果的な現実逃避にすぎず、何も対処していけない。だからこそ、どこかに小さなゆがみはあれど、一つではなく複数の対策を組み合わせて何とか対策を打っていく。そうして今までやってきた。

 

しかし現実的に抗えない事もある。何年も前から言われ続けていたけれど、結果として効果を表すことなく、その影響が顕著に出始めていること。

日本が抱えている「現状の抗えない傾向」。たぶんこのこと自体が、結果としての格差を増大している原因の一つではないかという事。言うまでもない「人口減少」と「高齢化比率」。国として、当初考えていた生産人口が減り、多くが受け取る側に回ることで、恐ろしいほどの急ピッチで経済力が劣り始めること。

ただし、これまで生きてきた人は、基本、自分の生活のレベルを下げていくことはしたくない。それまでの先達を見て、徐々に良くなる生活スタイルを自分達も目指し、自分もああなりたい、徐々に良くなる、未来が開ける世界を夢見て進んできた。

…が、現実は突きつける。そんな未来はもうなかなか描けないのだよ、と。というところで既存の人々は思う。良くならないのは仕方がないが、せめて今のレベルを下げないでくれ…と。

 

全体でポテンシャルが下がっている状況で、いままでの既存のレベルを下げずにいるのならば、当然ながら、「これからの人たちのレベル」を、今まで以下に下げざるを得なくなる。当たり前すぎる結論だ。

たぶんこれが今抱えている年金制度。少しずつ少しずつ高齢者分を削りだしてはいるものの、若者部分の根本的対処には全く至っていない。既に言論多数となり得る世代の痛みを増大させることは難しい。

 

ただ、かといって政治家も官僚も、誰もこんなことを言う勇気はないだろう。「全ての世代みんなして、貧乏になりましょう」などとは口が裂けても言えないだろう。誰もが分かっていても、誰も言わない状況。でも誰もが間違いなく感じている状況。

今の日本は裸の王様の国ではないのか。誰もが分かっていながらも、誰も対処できずにいる。誰かに押し付けることもできない。抜本的な改革に打って出るほど、どこかに痛みを伴うことは逃げ回る。

でも手立てを打つにも時間的制約もある。あるリミットを過ぎると、全て手立てすら立てられない状況に陥り、徐々に弱っていく。どこかで抜本的対策が打てない「個」は、淘汰されていく。

 

たとえどこかに痛みを伴ったとしても、できるタイミングで全体としての最適化に走らなければならない時がある。沈みゆく今を生き抜くにはどうするべきか。
もうすでに個々人で対処できるような人々は、脱出しているのでしょうか。

夢がないな。