とどのつまりは

本業でヒィヒィ言っているような企業は、たぶんこれからも厳しい時代が続く。

 

Googleがどうして様々な「無料」サービスを展開できるかといえば、まさに本業の儲けが大き過ぎるほど大きいと言うことだろう。企業の多くは、そこ(儲けの大きい所)で、そのサービス自身を低価格化して還元しがちだ。が、そうではなく、そうして得た利益を、別の経路で無償/低価格の形で一般ユーザーに還元していると言うこと。リッチな成長エンジンは温存し、やせ細らせたりしない。

 

この構図は、今のネット上における「好きだからやっている」という趣味などの個人での無料コンテンツなどと、基本的に同じ構図だろう。

個人の趣味ベースなのでお金を取るまでもない。無料であるがゆえに、それで商売をしたい私企業がその部分で「儲け」を個人に挑んだところで負けてしまう。とは言えクオリティはと言うと、好きこそもののなんとやら。とんでもない奴らが存在する。

 

ただ、個人が無料で提供するそれは、ある意味、単なる承認欲求が満たされていればいいところ、で終わることがある。だから数は要らずに承認が満たされると終わることがあり、「数」の力や、継続性、クオリティの保証の観点で、企業が差異を埋める余地がある。

これがことGoogle規模の企業が無償で展開したりすると、対抗手段がおいそれと見つからないのだ。さらにその展開規模が莫大な数のデータを生み出す。彼らは明示している/いないにかかわらず、間違いなく無償で得られるこの莫大なデータの一部を利用して、自分たちの次の事業の種の部分を育てているのは想像に難くない。

例えばディープラーニング。写真の中のオブジェクトに顔認識や動物認識を使って、その精度を上げると言った事は容易に想像できる。GPS情報やタイムスタンプを使って、場所と日時と混み具合なども予想できるだろう。天気情報などなども重ねればなおさらだ。

 

だから、何かを強力に押し進める事で、その領域の覇者となる事。そこの部分を必要以上にそぎ落とさず、その圧倒的「余裕」で次の別の「種」を育てていかなければ、結果として会社全体、事業全体がコストダウンにのみ飲み込まれると言う事。一つ手の打ち方を間違えるだけで、これはどこにおいても陥ってしまう事。

圧倒的地位に着いたら、そこは温存して「別の道」を広げること。せっかくそこまで育てた「エンジン」を、パワーアップさせても、決してやせ細らせてコストダウンなどを考えては、それは自分たちの命を削ることになる。

 

ま、だからこそ、そうした世界を非常に簡略化して検討できる、将棋やチェスといった形での勝負事で、シミュレートしてみるわけなのだが。