ピークの限界

昔々、子供のころ、動物図鑑などを見ていて、一番速く走る動物はチーター、なんてのを見て興味津々。時速120Kmで疾走するなんてことが書いてあり、テレビでそのシーンが出てきたりすると、「はぇーーーー!」と驚嘆。

 

だが大きくなるにつれてわかってきたことは、チーターは、「ずーっと時速120Kmで走り続けられるわけではない」という事。瞬発力としてのそれは、たぶん何十秒とは持たず、獲物を追い詰める数秒間で最高速度を出して、そのほかの時間はそうそう速くは動かない。

 

動物に限らず道具も同じで、例えばメカ物も同じこと。最高出力はどれくらいと書いてあるとしても、ずっとその最高出力を出し続けていると、そのメカは早々に劣化したり壊れたりするもの。ピークの力は「ここぞ!」という際にのみ使う力で、通常運転はその7割や6割程度で回すもの。

 

であるにもかかわらず、最近の「仕事」現場の回し方は、現場の「人」を、ずっと最高効率/出力で回し続けようとしているように見えるのだが、皆さんの周りはどうだろう?もちろん、人もマシンも同じこと。ずっとそんな最高効率が続くわけもなく、そんなことをすれば燃え尽きたり、壊れたりする。

残業規制は結構だが、頭の悪い資本家は「ならずっとその規制ギリギリいっぱい(最高出力)の範囲で」使おうとしがちだ。

 

車の運転で、「平均時速」という概念があるように、人の効率にだって、「平均値」が存在するはずだろう。ただ、効率を一律に測る手法が存在しないから、無謀者が無限にあげようと強いる。働かされる方としてはそんなには上がらないと諦めが入る。それを見て、だから上がっていないんだとさらにあげさせようとする。たぶん一律的に「効率化」を見える化できない以上、今後もずっとこの観点で、働く側と働かせる側とで対立し続けるのだろう。

 

 

ある飲食チェーンの応募を拝見してびっくりした。「みなし残業80h」。月ぎめの給料には、あらかじめ、80時間の残業時間分の給料が入っていますよ…ということ。とすると、基本給与がいくらで設定されているかは推して知るべし…。

日本は明らかに二極化しつつあるよね。総中流なんて言葉、今の30代以下にとってはどこの楽園?状態か。