道具が使える事

「僕はこの金槌が使いたくて」と大工になろうとする人は、まずいないだろう。金槌のみならず、ノコギリも、カンナも、なんでもそうだ。それらは道具にすぎず、「それらを使ってこんなことができる、こんなものが作れる」という、使った末にできる事こそが重要な事のはず。

 

と、こう考えれば非常にわかりやすいにもかかわらず、それ以外の多くの世界で、「金槌が使いたい!」をアピールして仕事を探している人がいる。

「パソコンのこの言語が使えます」

Excel、Wordが使えます」

「英語が堪能です」

「マネジメントができます」

どれもこれもがある種の「道具」。その道具を使ってどうしたいのか、どんなことをしてきたのか、何を実現してきたのか、何を実現していきたいのか?それが相手に伝わってこそ、就職であり、特に転職。

新卒の際にはそこまで意識できないかもしれないし、新卒でそこまで「自分のやりたいこと」をアピールしすぎても、その会社で実現できるとは限らないだろう。だが何年か働けばそれらは見えてくるはずだし、そもそも転職組においては、「スキル」に加えて「やる事、やってきたこと、今後やっていきたいこと」が明示できなければ、たぶん、安く使い倒されるのみ。

もちろん、会社によっては「使い捨ての駒」を探している企業もあるのだろうけれど、それでは体も心も使い倒されて捨てられるのがオチだ。だから、やりたいこと、目指せること、それらをその組織や企業を知って、自分の方向とのクロスポイントをアピールすることが必要になるはず。

 

道具アピールも悪くはない。がそれに加えて、「やる事、やれる、やってきた」さらには「やりたい事」「成し遂げたい事」をアピールをしなければ、たぶんこれからの就職は厳しいはず。

 

…なんだけど、働く人が減っていっている昨今。そんな事すらいとわずに、企業側はまず人採用で動くのだろう。…となると結局、働く側の意識は高まらない可能性が、というのが悲しいところ。