くみ取るべき意図

学生時代、友人が塾講師などのバイトをやっていて、そいつがテストの採点をやっているのを、横眼で眺めながら見ていたことがある。

確か中学生のクラスのテストだったと思う。国語のテスト。問題文に「作者はどう考えているのか、次の4つの中から選べ」といった問題だったと思う。
もちろん、長めの問題文があり、それを読んだ前提としての問題なのだけれど、すでに選択肢の4つを読むだけで答えが見えてきたりする。これ、どう考えたって、これじゃん!…と、すでに中学を経て来た観点からは明らか。いわゆる出題者の意図が、その選択肢の設計のところに透けて見えてくるのだ。

しかし受験テクニックに長けた中学生ならまだしも、まだまだウブな中学生なら、ついつい「文章の作者」の意図を考えようとする。そして何度か問題文を読み込もうとする。すでにそこに誤解が生じ始めていることに気付くには、何年かかかるのかもしれない。

たぶんそれは、「作者」の意図をくみ取るよりも、「出題者」の意図をくみ取るべきなのだ。その視点で見始めた瞬間、選択肢の見え方が変わる。…が、それに気づくことこそが、人生経験を積んできた、という事なのかもしれない。

 

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仕事をしていると、いろんな思惑の人が、いろんな意見を言ってくる。これらに惑わされ始めると、途端に作業量が増えることになる。なので、「誰の意図を重点的に組むべきか」は最重要課題。そもそも、最悪の場合においては、組むべき最重要人物とのコミュニケーションがなされていない…などといった状況すら生まれえる。それに対して、ついつい身近な声や意見を優先したりすると、結果として仕事の評価は上がらないことにも。

なので、上司の、会社の意図をくむべきなのか、はたまた顧客の意図を組むべきか。バランスこそ取るものの、どちらかしか、というのはあり得ない。

 

結果的には、中学生とあまり変わっていないのかも。要するに、周りをきちんと見て、現状をとらえ、キーパーソンを認識せよという事に他ならないのか。

 

修業は続くよ、どこまでも。