育てるコスト

中小企業の継承者が育っておらず、廃業に至る企業が増え始め、結果、数兆円分の企業価値が消えていく…などとメディアが報じている。

 

正直なところ、自業自得だと思っている。

昨今、中小に限らず、一部上場企業においてでさえ、現業において、儲けるための効率化を究極にまで突き詰めようとしている。結果何を削減しているか?お題目上は「個人の効率を上げて」という事になっているが、多くはすべてのコスト(作業)を、価値につながるものにつなげるという事に他ならないことになっていないか。裏を返せば、即価値につながらないコストは極限まで削除し始めている。その最たるものが「教育コスト」や「トレーニングコスト」だろう。

 

今まででさえ、教育コストは潤沢にかけられていなかった企業はたくさんあるだろう。であるがゆえに、技術継承、事業継承がままならず、その直前になって焦って急場しのぎの対策を打とうとして失敗しているところは枚挙にいとまがない。

先達の責任の一つには、そうした後継者の育成も当然含まれている。が、そう思っていない人もいたり、いやそれは個人の責任だなどと考えている人もいたり。それによって結果、後継者が育っていないのを先達の立場として愚痴のようにつぶやくとするなら、それはお門違いであり、手を打っていなかった先達の責任に他ならない。

 

次につながらない、次が育っていない?それは誰に向けて言っているのかと?自分の胸に手をあてて聞いてごらんなさいな。

潰れる企業は潰れるべくして潰れていく。傍目から見ているという、それをもったいない、惜しいという人はいるのだけれど、適切に淘汰されないことこそが、システム全体を歪め、システム全体を危機に陥れていく危険性もあるのだから。