即戦力

ここでは何度も書いているけれど、すでに「終身雇用」などと言う言葉は事実上、日本の就労者の大半には当てはまらず、時に応じて仕事を変え/変えさせられ、次の職に就くというのが当たり前の社会になっている。

 

そんな状況でもあるため、ある意味、ずっと昔なら「転職回数」が不利益に作用していた時代とは変わり、「ほぉー、いまだ転職されていなかったのですね。それはお珍しい」などと揶揄される時代になっていたとしてもおかしくはない。それほど優秀かつ強大な大企業において長年…と言うならともかく、場合によっては「なぜそこに、そんなに長いこと居続けたのか?」ということが問われる時代にもなっているのではないだろうか?

 

転職を受け入れる方はと言うと、昨今の事情を背景に、「即戦力」が求められているとどこでもが異口同音に語る。個人的には「そう同じように語る事自体が、もう、あなたの会社のお先が知れている」と思わなくもないけれど、それはまぁおいておくとして。

そもそも「即戦力」が求められているというのだから、自社において、少なくとも3か月以内には、いっぱしの成績を上げてもらおうか…というのが、取る方の会社の目論見だ。となると視点はこうなるはず。

前の会社においては、その知識は効果的に使われなかったけれど、今度うちの会社においては、それは即武器になりえると判断できること。

その理由は多分にあり得る。それは、前の会社が、そのスキルに関する事業から退いたとか、そもそもそのスキルを必要としていなかったとか、事業が傾き始めて縮小対象になったとか…。

何にせよ、「本当に前の企業において、活躍しているような人であるならば、前の企業が出すはずがない」のであって、なぜ今この「転職面接」の場にいるのか?が問われることになるのは当然の事。

この部分の説明をきちんとできない限り、取る方は危なっかしくて取りたがらないのは当然だろう。スキルがないものはとりたくない。素行が怪しいものも取りたくない。実力があって、でも前の会社の事業方向とは違い、その今持つ素晴らしいスキルを活かす場としてウチを選んでくれた人を取りたい。

 

…というマインドで仕事を探しているかということだろう。逆に言えば、そのマインドで探さない限り、就職したはいいけれど、結局、会社にとっても個人にとっても、どこか我慢を強いられて、つらい結果を生みかねないはず。

 

とは言え、世間は「労働力不足」だとか。そりゃそうだろう。どんどんやめさすんだからさ。働く側としても、そんな低い賃金しか出さないならと、スキルある者から逃げ出すのは当たり前。きちんと見合った対価を支払う会社、そして社会を、みんな求めているのだから。