できないからこそ
できないことを悔やむことはない。とくにそれが「誰がどんなに努力しても、とても大変」だったり、「決してできない」ことがわかれば、それは「できないことがわかった事」が大きな成果になる。
たとえば個人認証などがそうだ。
指紋、声紋、虹彩パターン、手のひらの静脈パターンなどなど、それがそう簡単にまねできないからこそ意味がある。
デジタルにおいても、暗号化のカギは、そうそう簡単にまねできないということこそが命。もちろん、データであるがゆえに、総当たりをすれば、結果的にはいつか解が出るのだけれど、それに到達するのに、平均数万年とか、nの何百乗といったけた外れに大きな数字が必要になる時間や空間が分かる事で、事実上できないことを担保する。
そう、できないことが「あなたである事」を表し、翻って「ほかの誰でもない」という証拠になるということ。
だから、本当にできなければ、それはそれで「成果」。
でもたいてい、それは誰かによって「できちゃう」ところがむつかしいところ。できないこと、できにくいことを証明し、そしてそのことが利用できるようになること自体が、むつかしいんだよ。