駅伝というコンテンツ

すでに一か月ほど前になる。

年始は、実業団駅伝、箱根駅伝といった、「駅伝」というコンテンツがテレビ番組の定番の位置を占めだして久しい。実業団は??という人でも、箱根駅伝は聞いたことがある人が多いのではないだろうか?

 

「駅伝」というコンテンツを少し考えてみると、いくつか特徴が見えてくる。

まずは、お正月のまったりした状況の中で、サッカーなどと違い、勝負の展開が「遅い」。順位の変化は簡単に起きず、ゆっくりと変わっていく。さらに変わる段階においてもじわじわと変化が見られ、時間的に盛り上がる時間が長く、それをアナウンサーも盛り上げる。サッカーなどのように、一瞬目をそらしたスキにシュートが決まった…というようなことは起きないのが、「お正月」という時期にフィットしているところはありそうだ。

また試合時間が長い。これはネガティブ要素にもなりえるけれど、お正月のような状況においては、「なんとなくテレビをつけている」場面で、いわゆるBGV的に流れているコンテンツとしては秀逸。たぶん逆に、このコンテンツが、たとえば海外での開催ゆえに深夜に放送…となると、たぶんリアルタイム視聴する人はまずいないだろう。お正月という時期や環境、午前中からお昼を挟んでという時間であるからこそ見てもらえるコンテンツ、という意味合いはありそうだ。さらに時間が長いことをメリットとするかの如く、それぞれのチーム、選手の裏情報などを追加情報として説明したり、映像として提供することで、人情や情けに訴えかけるような番組作りさえなされている。

逆に言えば、そうしたワクワク、大接戦が持続するが故の長時間コンテンツであるから、最初からあるチームが圧倒的力量で引き離してしまって、後でひっくり返すことはまず無理だな…と視聴者が感じてしまった瞬間に、一気に視聴率は落ちそうだ。力量が拮抗している現状、ドラマチックな展開がどこかで起きる可能性を残すからこそ、長時間でもなんとなくみられている、テレビをつけ続けてもらえているともいえるだろう。

 

こうしてみると、昨今の、スピード、ドラスティックな変化、などとは真逆のコンテンツでありながら、時期や環境にフィットしたことにより大ヒットコンテンツになったとも考えられる。こじつけて言うなら、スピードスピードとばかりもてはやされている仕事や勉強の環境の反動が、変化の緩やかなスポーツを欲している部分もあるのかもしれない。(いや、選手がおそい、とか言うつもりはなく、とてつもない早いスピードで走っているのは、ひゃくも承知だ。)

 

もしかすると、そうした環境に寄り添うコンテンツとして、結果、時間、展開、スピードなど、まだまだ検討できるコンテンツはありそうだ。昨今ちらちらと力をつけ始めているように見えるのは、将棋。いろいろと一般知識として理解するところがむつかしい部分はあるものの、それでも「電脳戦」は、十分にコンテンツとして成り立っていたのではないか。

囲碁、将棋、そのほか様々なゲーム、そう、テレビゲームもそうなる可能性は大いにあるだろう。一部のライブ配信のみならず、見せ方などに工夫ができれば、まだまだコンテンツとして、「ライブ」が意味を持つものはあるのではないだろうか?

  

通信業者サイドのコンテンツプロバイダー、クリエイターがテレビ業界を脅かし始めている現在。でもまだ「ライブ」で行けるところ、ありませんか?スポーツコンテンツ、競技、リアルタイム視聴の雄だと思うのですがね。