心の中に絵を描く

本を読む、特に物語を読むというのは、それを聴きながら、心の中にその情景を描く事ではないだろうか?

子供のころは、意識せずに行っていたかもしれないけれど、大人になった今となっては特に、意識して「心の中に情景を描く」ことを行ってみてもいいかもしれない。

 

なんとなく見ている普段の日常の風景、なんとなく見ている人物、店、看板…。そういうパーツで構成されている日常世界だけれど、さてその風景に生えている木の種類は?葉っぱは茂っているのかどうなのか?葉っぱの色は?木の幹の太さは?人はそこに何人いるのか?どんな色の上着を着ている?かばんは?男性?女性?こう考えだした瞬間に、いかに自分たちがイメージしているもの、見ているものをあやふやなものとしてしか捉えていないということが見えてくる。

 

いや、本来それで何の問題もない。逆に言えば、そこまで考えないからこそ頭も疲れないわけで、無意識的にそうした注意力、集中力をセーブしていると考えられなくもない。

でも逆に、そこまで細かく考え始めたら?そう、意識して「考え」始めたら?そこで考えるべきこと、注意を払うべきことは山のように増えてくる。そしてその考えるという回路が動き始める。多分それくらい、普段は考えるという回路を動かさずに生活しているのではないか?

 

物事を考えるというのはこういうことでは。であるがゆえに、常日頃からずっとできる、やり続けられるものではない。当然ながら相当なエネルギーがかかるから。でも、一度やり方を知れば、必要な時にはいつでも、「丁寧に考えることができる」というのは、たぶん大きな武器だ。

丁寧に考える。考える方法を身につける。そのために、心の中に絵を描いてみませんか?