よーく考えよー、名前は大事だよー

高度プロフェッショナル制度、裁量労働制。どちらも今回のターゲットであるけれど、この両者の「名前」でごまかされている人は多々いるのではないだろうか。

 

高度プロフェッショナル制度。これは、高度な専門性を持った人は高い価値として評価されているに違いなく、その評価を賃金として考えると1075万円?以上の年収を得ている人をもってして、この制度の適応可能対象者としましょうという制度。

これでもお判りいただけない人がいるかもしれないが、本当にギュギュっと圧縮して言うと、「1075万円以上の年収を持っている人がターゲットの制度」である。そう、「年収」しか着目していないということ。

であるからこそ、この制度がむやみに実施され始めると…、「じゃあ1075万を900万に下げようじゃないか」「700万に下げようじゃないか」「500万に下げようじゃないか」…となるのは火を見るよりも明らか。「専門性」という名で胡麻化されているものの、要するに年収しか見ていないというこの制度。それで専門性をどう評価するか?とか、まったく考慮されていない。こう言った評価基準でスタートすると、あとはズルズルと下がっていくのが常。であるからそう言う今後まで見越して、「このような年収のみしか基準を設けたくないヤツら」もいるんでしょう、きっと。

 

同じく、裁量労働制度。これで実現できるのは、残業代をみなしで一定化(固定化)して、成果ができるまで働かせることができるという制度。さて、この制度で労働者に「何の裁量権」が与えられているのかをしっかり考えるべきだろう。

仕事の量?いや、それは会社から降ってくるでしょう。仕事の質?そんなのを個人にゆだねるはずがなく、質が低くてもいいなんて言うのを許容する日本の企業は、今のところ聞いたことがない(…が、品質、下がっているところは無くはなさそうですなぁ)。じゃあ締め切りを勝手にずらせる?そんな身勝手を許すはずはもちろんあるまい。ということはまったく「何の裁量権も労働者に得られない制度」が「裁量労働制」になりそうだということ。こちらも同じく、「成果を出すまで無限に働かせ続けたいヤツら」がいそうなことは…。

あまりにばかげていてもう議論する気にもならない。

頭では「良いこと」を掲げていて中身は「偽物」。羊頭狗肉とはまさにこのことではないか。それを政府が主導している状況…ということ自体、昨今のこの国の状況を表し始めている始末。

 

腐りだすと、というか、腐ったところが発見される頃には、もう「中身」はがっつりやられていて、ひどい状況になっているのが常。その他の悪いところもいろいろ見つかり、もう復帰できないところに至るのも時間の問題か。