道具を使いこなしすぎると
日本の職場において、どこでも非常に、いや必ず目にするファイルがある。
使っていない職場はまずないだろう。
もちろん、製作者側の意図としての「表計算機能」をフルに活用したExcelの使い方は全く問題がないし、そうして使うべきだ。だがそれにしたって、(ソフトウェアのスパゲッティ構造と同じくらい)マクロを駆使して、当人以外は、どうして動いているのかわからないExcelなんてのも時には存在する。逆に、罫線の太さ、色付けだけでできて居る、見栄え重視のみで、中身は手計算…なんてのも見かける。そして当人はたぶんわかっている。最悪、自分の仕事として「Excelのメンテナンス」なんてのを作り出している人も現実に居そうな気がするのが恐ろしい。
Excelの罫線機能を利用して、原稿用紙を作っているのも見たことがある。ひどいのになると、仕事ではなさそうだが、Excelを使ってお絵かきをしている人もいると聞く。
道具を、道具に期待される以外の使い方で、それを使いこなすのは、悪いとは言わない。が、それが「お仕事の一部にまで侵食している」ことが、多く使われているツールだけに、Excelでは感じざるを得ない。
Excelでスケジュール管理をしていたりするのもまさにその一つ。たぶん、当人は、「お絵かきの道具」として使っているつもりだろうけれど、スケジュール管理とは、スケジュールの状態を「絵で表す」事ではないというのを小一時間議論したくなるほどに違う。
お箸でカレーを食べる人はまずいない。
スプーンでステーキを食べる人もまずいない。
適切な仕事には、適切な道具を使ってもらおう。それこそが、昨今はやりの効率化を目指す事。そのやり方を「押し付けられる」それを引き継ぐものが、おかしな苦労をしないように。