壁を階段にする

私は山登りに詳しくはないけれど。

登山、それも有名な険しい山々、登頂がむつかしいと言われている要因の一つが、険しい崖が連なっているところではないだろうか?いくら標高が高い山でも、なだらかな斜面が、たとえ長距離でもダラダラと続いているのなら、登っていけばいつかは必ず頂上に到達できる。到達経路が切り立った崖、ほぼ垂直の壁に見えるようなところを行かねば到達できないからこそ、その山は登頂がむつかしい。

 

これはたぶん仕事でも同じはず。

いきなり「〇〇を作ります」と言ってできるものもなくはないが、大きな仕事になれば、Aを作って、それを使ってBを作って、それを使ってCを作って…で出来上がり、といった工程が必要になる。そういう工程を踏む、要するにA、B、Cといった「なだらかな斜面」という段階を踏むことによって、いきなりできるかできないかわからないものができる確率を高めるという事。

要するに一気に上がれない、見えない途中段階を、適切に自分に最適なステップで上がれるようになだらか化する力が必要になる。

 

この力量は、あまり明確にどこかで開発されるものでも、教えられるものでもないようだ。だが、人によっては自然に先輩の、大人の振る舞いを真似して習得している人もいる。

ものごとは、一気にできるのではなく、特にむつかしい事、大きなことをやり遂げようとするならば、段階を踏んで進めていくというトレーニングを踏むのは大変有効だ。これは仕事のみならず、勉学で会得した人は、何事であれ立ち向かえる大きな武器を手にしている。

さらに、その段階の切り方、ステップの切り方が適切であればあるほど、登りやすくなる。物理的な階段のステップが高すぎると登りにくいのは当然だが、小さすぎても登りにくい、それと全く同じ事。その最適なステップをいかにして切るかは、当人の力量とノウハウに大きく影響されるだろう。

 

今、目の前に「こんなことできるわけない」という壁が立ちはだかっている人であっても、それをちょうどいいステップに刻むことができれば、必ず上ることができる。克服することができる。その「階段にするすべ」こそ学ぶべきスキル。