知ってほしい、けど知られたくない

僕らがどこかのお店に入るとき。高級料亭や高級レストランなら、次に何を求めているのかを店員が素早く察知して、おもてなしをしてくれる。それ自体当然ながら、そうしたサービス自身を提供している、できるからこそ高級店であり、サービス料金を取られる。

とはいえ、やっぱりそうしたサービスは心地よいものであり、欲したものが、きちんと対処され、長く待たされることなくスルリとサービスがすすめられていくのは大変過ごしやすい、価値を感じられるのも当然のこと。

 

だからこそ、そうしたサービスをいかに安価に、低価格で提供できるか?ということに血道をあげるのが商売人。ここにテクノロジーをこれでもか!と投入して対処しようと挑戦しているのは、(他の業種もあるだろうけれど)一部の回転ずしだ。

 

ご存知の通り回転ずしでは、お皿にマイクロチップを入れてお勘定を計算できるのはもちろんのこと、そのチップ情報などを通じて、レーン上でその皿は何周しているのか?この時間帯なら同じネタがあと何皿必要になりそうかという事を過去のデータなどから「予測」して、キッチンに指示が出る。すでに顧客の動向を予測した形で、ネタの種類や数が予測され、おもてなし情報として分析されているからこそ、リーズナブルな値段にもかかわらず、おいしいネタが、程よいタイミングで供給されている。テクノロジーの成果だ。

 

さすがにそこにおいてプライバシー情報までは提供していないはずなのだけれど、他のお店ではどうか?昨今、コンビニやスーパーで「アプリをお持ちでは?」と聞かれるものはないだろうか?アプリを見せると買い物をするごとに、アプリを立ち上げてスキャンして数ポイント(たぶん数円相当)分登録する、というのが出始めている。ひところ言われていた「Tポイントカードをお持ちですか?」と仕組み的には同じだろうが、カードでの仕組みを通じるのではなく、「アプリ」を通して、様々な個人情報を各社で簡便にプライバシー情報を吸い上げることができるようになったからこそ、このようなポイント制に踏み出したのではないだろうか? 

 

さすがに、たった数ポイント程度ではそこまで恩恵はないけれど、そのアプリを通して、日ごろよく使う、良く購入するものの「クーポン」などが配信されれば、使うほうは使い勝手がよくなり、さらにその店を利用したくなるかもしれない。そう言うサービスを聞けば、無料でアプリ登録、お得なら私もやらなきゃ!になびくのは想像できませんか?

裏を返して言えば、本当はアプリ登録手続きを通して「情報をいただきますよ」に同意させているにもかかわらず、なんとなく同意していることで、様々な情報を吸い上げられている、知られているからこそ受けられるサービスのはず。でも、その事実を知らなければ、いや、よく読まない、よく理解していなければ、「便利になったね」と受け入れる人もいることだろう。

 

これが順番が逆で、サービスを受けるより先に「こんなサービスをできるようにするために、この情報、あの情報をいただきたく、ご協力ください」と宣言されると、途端に「それはプライバシーの侵害だ!」と抵抗したりする人もいる。

 

さて、みなさん、アプリは、アプリのクーポンは、ポイントカードは、何種類お持ちですか?