ある朝の出来事

珍しく、山手線の内側の、あるチェーン展開しているカフェでコーヒーを飲みながら、少しサンドイッチをかじり、仕事の準備をしていた。

 

ちょうど時間も程よく、腹ごなしもできたので、自分の荷物を片付けてゴミを分別して捨て、店を出ようとした。と、目の前を少し体格の良い、カジュアルスーツに身を固めた、明らかに欧米系の若者が、ドアを支えていてくれている。

別に私がなにか大きな荷物を持っていたわけじゃない。ただ彼の後をついて出ようとしただけだ。扉に到達したときに、彼と目が合った。彼が支えていたドアを私が手でつなぎ止め、彼のまなざしに反対側の手をフッとあげて(ありがとう)の意思を示す。彼もそれに応じて軽く手を振って返してくれる。

 

たったこれだけのことなのだ。にもかかわらず、気持ちが晴れやかな気分だったのはなぜだろう?

日本人でももちろん、扉を抑えてくれる人、後ろを気にしてくれる人はいないわけじゃない。だがちょっとしたアイコンタクトで、ふとした笑顔で返してくれた経験はあまり無い。

そんな気持ちのいい1日の始まりだった。

 

お互いに互いを助ける余裕がなくなると、余計に社会全体が過ごしにくく、それによって不満が募り、悪いスパイラルに。社会の気分は誰かに作ってもらう…んじゃなくて、自分で作る、みんなで作るんだよなぁ。