too little too late

物事への対処としてもっともまずいのは、事態が進んでいるにもかかわらず、それに対して効果的なだけの量を打たずに少なすぎたり、対処のタイミングが遅すぎたりする事ではないだろうか?

だが、「これが最適な量」だとか「ここが最適なタイミング」だというのは、結果的にあとからわかることがあっても、その時には、当の渦中にいる間は、なかなか判断が付きにくいもの。であるがゆえに、対処を打つタイミングは十分に計り、ボリュームは多いくらいに打つのがよく見るやり方だ。

paypayの戦略は、まさにその意味では絶好のタイミング。ボーナス商戦を当てにし、大多数が使うように仕向けるために、大量の資金を投入する。

 

実は、約20年ほど前にもこれと同じような戦略を見たことがある。商品やサービスは違えど、考え方は同じだ。そう、やっていた母体も同じ組織。その当時は「ADSL」のルーターを、無料で配っていた。

日本において「ティッシュ」が無料で街中でもらえることさえ、全世界から見ると珍しい国なのに、当時そこそこの値段だったはずの「ルーター」が、ターミナル駅前で、どんどん無料で配られる。こんな異常な事態があったのだけれど、それによって日本のネット環境の一部は一気に普及率が上がったのも事実だろう。

 

他にも、(この会社に限らず)無料で使えるクーポンを大量に配布したり、お試し期間を長くとるなどの策はあるけれど、どれも「インパクト」としては小さめなのは、すでに「無料」「タダ」というキーワード以上としては、「お金をつけて配る」以外にはないところまで行きついているからだ。その意味で今回のpaypayは、まさにお金をつけているし、その規模100億円を直接アピールしているところが戦略の戦略たるゆえんだろう。ある分析では景品表示法のギリギリを攻めていたらしい。

 

という事で、とある側面では成功したであろう戦略も、違う側面では早過ぎた終焉による影響も否めないかもしれない。それは、加盟店舗の獲得数。一時の流行りで終わらせないためには、使える場所、加盟店の数が増えてこそ。これほど短気で終わってしまって、本当に加盟店舗数は確保できたんだろうか?

そしてやはりおもうのは、そのくらい、世間は実はひっ迫している、景気がいいとはいい難いのではないのか?と、私は読むのだが。