裏のない表

光あるところに影がある、とか、コインの裏表、などと言って、物事にはかならず反対側、良いところがあれば悪いところ、良い効果があれば悪い効果もある、という事を表現するための言葉がある。

 

世間で物事を推し進めたり、何か新しいことに切り替えたりする際には、少なくとも「こんな良い面があります」という説明が必要だ。でなければ、それを導入する意味がない。
だが当然ながら、そこには「コインの裏面」が何かしら存在することになる。誰かにしわ寄せがいくのか、今までの何かが犠牲になるのか、そうしたできていたこと、当たり前だったことに何かが、不便になったり、できなくなることは少なくない。

 

もちろん、それで問題なし、なぜならばそこは最近は、そうする人が減っているからだ、などという形で導入に問題がない事も多々ある。だが、全員がそうなるには時間がかかるもの。必ず不満は出るものだ。

誰かに都合がいい事は、ほかの誰かには都合が悪い事。であるがゆえに、都合がいいほうは声高になる。都合が悪いほうが声を上げなければ、当然ながら、事態は粛々と変化していくのは間違いない。

 

声を上げよう。僕たちが裏側に回される危険が近づいているのではないだろうか。あんな側面、こんな側面で。いままでそうして「声を上げたことがない」という事自体が、実は大きな課題のような気がするのだが。