繰り返される価値

日本初のネット映像配信事業において、ニコニコ動画とAbemaTVはそれなりに頑張っているのだと思う。だが海外からの、Netflixや、fulu、Amazonプライムといった映像配信サービスの強力なプッシュの後塵を拝しているのが現状ではないだろうか?

 

何に違いがあるのか?その一つの特徴として思い浮かぶのは、「後からもう一度見たくなるだろうか?」という事。特にNetflixは、新作を自身の資本を使いながらガンガンと生み出し、それによって、彼ら自身の資産として、繰り返し見たいコンテンツをストックし始めている。言うまでもない「ネットの上での映画会社」的位置づけなのだ。
それに対して、ニコニコやAbemaTVなどは、一部そうした自作のコンテンツはあるようだけれど、さてそのコンテンツのどれだけを、「後でもう一度見たくなる」ものにできているだろうか?

 

実はこれ、地上波テレビの番組と同じ立ち位置を取ろうとして、まさにテレビと同じ失敗をしているのではないだろうか?

テレビ放送の場合、ネットに打ち勝つためには、映像の美しさと情報の信頼性、リアルタイム性…などと言われ、それによって多くのコンテンツがニュース、スポーツ、生中継などに収れんされてきた。それでも残っているお笑いをはじめとするバラエティ番組、報道バラエティも含めてだけれど、そうしたものは、いまだ存続しているけれど、繰り返し見たくなるコンテンツになっているだろうか?

 

繰り返される価値、それも何度も何度もという事自体が、ネットでオンデマンドで期待されている事であり、「ネット放送」は、「テレビをネット化」することよりも「映画館を自宅に」届けることのほうで、ビジネスを展開すべきだ、というのがNetflixAmazonの考え方なのではないだろうか?

 

まだ決着はついていない…が、すでに日本の企業で、NetflixAmazonそしてAppleの配信サービスを覆せそうな勢いのあるところは、まったく感じられない。

21世紀の日本で、これら映像産業の生き残る道はあるのだろうか?他社が作った手のひら(プラットホーム)の上で、上納金を収めながら、移していく未来しか残されていないのだろうか?