力と力

成長する人に欠かせないものはいくつもあるが、その中に、気づける力と正せる力がある。どこにウィークポイントがあるのか、まずいところがあるのかを「気づける力」。そしてそれを正しい方向、より強くできる方向に「正せる力」が備わっていれば、心強い。

 

生徒や学生のころは、自分の弱点の多くに関しては“テストの点数”という形で気づくことができる。学業の証としてテストの点数で評価されるのが彼らの役目。なので算数が弱いとか、理科が得意だ、英語が苦手だという科目単位で強みと弱みがわかる。

さらに算数であれば、計算が苦手なのか、図形が苦手なのか、方程式が苦手なのか、文章題がわからないのか…。英語であれば、単語が覚えられないのか、三人称単数がわからないのか、不定詞、受動態、現在進行形…。といった形で、その教科の中のどこが弱みなのかが分かることが一番。

 

しかし、大学の研究や、社会人になってからは、誰もがそんな分かりやすい形で、ウィークポイントを提示されるとは限らない。いや、されないことがほとんど。どこが悪いのかを自分で見つけなければ、認識しなければならない。

それはそれ以前の、科目のように簡単にカテゴライズできるものであることもあるかもしれないが、そう簡単にはカテゴライズできない部分に課題が潜んでいる場合も少なくない。それまでには経験したことがない課題であることも珍しくない。

 

そんな時、良い上司がいれば、助言を与えてもらえたりする。良い同僚や仲間がいれば、一言助けてもらえる時がある。これはとてもありがたいことだ。

ただし、その「知らせ方」には癖がある場合もある。皮肉っぽく伝える人、控えめに伝える人、大げさに伝える人、すぐに怒った口調でこっちのせいみたいに言ってくる人…。だがちょっと腹立たしかったりすることを飲み込んで、「気づかせてくれている」ということに気が付けば、そんなありがたいことはない。

 

ビジネスパートナーや人生のパートナーにおいても、そんな自分では持っていない気づかないことを教えてくれたり、能力を補完してくれる人と巡り合えることがある。さらに、単に気づかせてくれるだけでなく、いっしょの正しい道のりを手伝ってくれる人もいる。

 

スティーブジョブズにはウォズニアックが

ビルゲイツにはバルマーが

井深大には盛田がいた。

協力者が有名人ではないかもしれないけれど、その他の成功者にも、多くの協力者がいた。そんな人と巡り合えたら、絶対に“前髪”をつかんでいないといけない。

 

すべての必要な力を、すべての人がパーフェクトに持ち得る、ということは、なかなかかなわない。けれど、何か一つだけでも自分に強みがあれば、それを補完してくれる誰かを見つければいい。そのためには、そんな誰かを見つけるか、そんな誰かに見つけてもらえるほどの力を備えている必要がある。

だから人は皆、そんな誰かに見つけてもらえるように、オンリーワンの技術を磨こうとする…

 

って、見つけてもらえなさそうなら、自分から見つけに行けばいいんじゃないのか?

「見つけてもらうまで、じっと待っていなければならない」などとは決められていないのだし。