そのすぐあと
すでに終了してしまった漫才のナンバーワン決定戦M-1グランプリ。ここでは、何番目に演じるか?という順番が大きく勝敗を分けることになる、というのは、どの出場芸人からも言われていたこと。べつにM-1グランプリに限らない。
トップで出ると、会場がまだ“笑い”で温まっていない。だから実力があったとしても、なかなか思った通りの笑いを会場から引き出せない。もちろん、いつも通りやればいいわけだけれど、漫才と言えども会場と演者とのコール&レスポンスがある。会場がドッとうけると、演者も乗ってくる。
二番目は、トップに比べるとかなり条件は整いつつあるだろうけれど、それでもまだ厳しいかもしれない。三番目、四番目あたりに出ていければ、と思う組があってもおかしくない。
しかし逆に、三番目であったとしても、二番目でドカーン!と会場が笑いの“るつぼ”になってしまった後であれば、それはそれでつらい。これは単純な順序ではなく、“どの組の後に出るか”という相対的位置取りが、運命を分ける。
「あまちゃん」が2013年9月で終わる。
ものすごい人気らしいし、ドラマも確かに面白い。CDも売れていたり、架空の過去の曲が架空でなくなったりしている、バーチャルがリアルに“染み出す”ような感覚は、今風でとてもおもしろい。(このタイミングでこんなドラマと出会えたことは、個人的にはとても幸せなこと w)
「あまちゃん」が、あの3.11をどう迎えるか、最後はどのように締めくくるのかがとても注目されている。どうやら今週がひとつの山場であることは間違いない。私に限らず、多くの人が注目し、たぶん多くの人が何かを思い出し、何かを感じることは間違いない。扱うのが難しい題材であるとともに、それを正面から受け止め、また一つ作品の格を上げるのは間違いないだろう。
過去には「ちゅらさん」のような例もあるから、もしかすると「あまちゃん2」も別枠であり得る/あってほしい、と願う人は多そうだ。
でも繰り返しになるがこれは9月で終わる。そして10月からは次のドラマ「ごちそうさん」が控えている。すごい成績を上げたあとのチームは、漫才同様やりにくい。何かと比較されるし、当然無茶な期待もされたりする。
今度のヒロインは杏が主役だそうだ。別に彼女の格別なファンでもないけれど、オーディションではなくご指名でヒロインが決まったというから、こちらも力が入っていないわけがないだろう。
演者、脚本家、音楽家、時代などが共鳴すると、「あまちゃん」のようなとてつもないドラマが生み出される。そしてその次というポジション。
「ごちそうさん」にもぜひぜひがんばって欲しい。
どれに参加できたか。
その物語がいつ作られるのか。
他の参加メンバーが誰だったのか。
これらもすべて運なのかな。
いいものに当たる…ではなく、いいものを作る。
みんながみんな、その時のベストを尽くすしかない。
誰一人、手を抜くことなく。