非効率なこと

仕事はどんどんと効率化を求められ、いかに短時間に、いかに多くの成果を上げられるかを突き詰めていく。

高い品質を維持しながら、今まで以上の成果を、同じ時間内であげること。素早い判断、的確な処理、いかにリスクに備え、課題に対処するかが追求される昨今。

 

他方で、みんなの意見を尊重せよという。合議制が大切だとか、思惑たっぷりの黒幕の意見をきちんと取り入れなければ動けないような世界が広がる。

民主主義。中身もわかっているつもりだし、その意義もわかるけれど、実はこれほど決断が遅く、非効率なシステムもないはずだ。

 

であるにもかかわらず、その非効率なシステムの上で、我々はスピードを追求し、効率を追求しようとする。みんなの意見を束ね、より多くの人が満足できる解を、より早く求めようとする。

 

本当に速さだけがほしいなら、合議制などではなく、誰かの権力で一刀両断にすれば一気に片が付く。すぐに決まる。すぐに決断できる。

それをいいことに、責任の所在をあいまいにして進める、そんなやり方をするから、グダグダになる組織も出てくる。合議制であったとしても、責任の所在を明確にする進め方を実践しているところももちろんある。

 

効率、責任、民主主義。

みんなせめぎあいながら暮らしてる。

時に引きちぎられそうに引っ張られながら。

時にゆるゆると、溶けていきそうに甘美な世界に酔いながら。