価値を見極められる立場
バブルが崩壊してから、幻の10年と言われ、幻の20年と言われ、すでに25年近くが経とうとしている。経済復活を唱えていろいろ施策が打たれるも、今の経済施策もあんまり成功しているようには見えない。
その結果今はどうなっているかと言うと、特に家電メーカーの再編が、ここ10年くらいでガッツリ進みそうな件。
すでに三洋は吸収され、消化されてしまった。ソニーも危ない状況を乗り越えたかに見えるけれど、以前ほどの家電事業規模をこの先もずっと維持し続けるのはきつそうだ。あ、もちろん、家電会社じゃないよ、という生き方はありそうだが。(そういえばアイワなんてのも消化されちゃったよなぁ、もったいない…。)
シャープ、東芝はもう言うまでもない。ビクター、ケンウッド、パイオニア、等々も、ここから伸びるような想像は見えてこない。
日立は堅調そうだ。三菱は一部家電をのぞいて、コンシューマ系は整理しちゃったね。
家電の技術が生きそうなのは、ひとつはやっぱり医療系への進出かな。だからすでに進出している企業がいくつも。ただ、品質管理レベルが格段に違うことになるはずなんだけど。
結果から見ると、ようするに新しい価値を以前のような市場規模で開発し続ける事が出来なくなったってこと。でも、昔の発展としては、成長し続ける事、価値を増大し続ける事こそが正義。
経済が停滞している中、デフレの中において、「世間もデフレだから、うちの会社も儲かりませんでした」では、株主に言い訳が経たない。だから、何とかして価値を生み出すことを考えねば…。
となった結果、「生み出す新しい価値」が減りつつある現状ならば、「コストダウン」で対処するしかない。
価値とはある意味相対的なものであり、「便利な事」が「どのくらいのコストで実現できるか」というこの比率で考えられることがほとんど。
だから、「いままで100円かかっていた便利な事」が、ある日から「80円でできる」となれば、その20円分が生み出した価値になる。すなわち、分母(かかっているコスト)を小さくすることが、分子(今までにない新しい価値を生み出す)を大きくすることよりも簡単に対処できる「ようにみえ」て、それにどんどんとはまり込んでいったと言う事。
結果、価格が安い事。それのみにどんどんと注力していけば、当然ながら給料も抑えられる方向に。
いったんこのスパイラルに入ると、給料を増やしてより良い環境にしてでも、新たなアイデア、価値を生み出す、という方向に逆転させるのは至難の業。