タイミング、大きさ

今登っている山のトップに「上り詰める」ことと、今登っているよりも大きな「山を作ること」は、こうして書くと明らかな通り、全く違う仕事。だから同じ会社、同じ部署にいて、同じ評価軸で仕事をしている中からでは、どちらかは評価されないことが少なく無い。

 

たとえば、家電メーカーにおいて、テレビを作る事業部が、今抱えるテレビビジネスを作り変えることができるのか。

絶対に無理とは言わないし、過去に実践した、もしくはチャンスはあったかもしれない。でもその時に適切に組織を再編し、社内の評価基準を調整し、とるべきリスクをとって新しいことに投資して新しいことができるように推し進めるには、よほどの覚悟と勇気がいる。それはできてきたか?

 

たとえば今まではテレビは、見るツールだった。しかしここ10年、パソコンをはじめ最近はタブレットも家庭に浸透し始め、従来のテレビ以外の危機も含め、単に見るツールから使うツールに変わる/変わり始めている。そうした従来事業部のテレビも今までのまま、見るツールでいいのか?

上記が正しいとして、ではどうやって使うのか?今までのリモコンで文字入力等々を行うのはあまりに現実性がない。が、ではどうするのか?テレビっぽくないキーボードが必要なのか?いやいや、そもそも音声入力なのか?しかし各メーカー、音声入力基盤はしっかりと基礎研究を積んで、商品に使えるようになってきているのか?

こうしたちょっとしたことを考えるだけで、それに付随するその周りの戦略を10年スパンでストーリーを考え、それにのっとった形で技術の積み上げをしていかなければ到底太刀打ちできないのも事実。
そしてその基盤となる評価基準がきちんと見えている、評価のフィードバックが適切になされてこそ、現場のやる気にも、技術革新にもつながるというもの。

 

小さすぎる投資、遅すぎる投資は意味がない。

必要な大きさの投資が、必要なタイミングでなされたか。