長所と短所 価値の浸透

これまでの日本企業の多くは、「改善」が得意だった。海外にまでその手法が広まるほど、「カイゼン」がそのまま言葉として通じるほどに、商品やサービスを徹底的に磨き上げる方法は広まった。

 

ただ改善は、基本的には「短所を今までより良いようにする」こと。要するにマイナス方向に触れていた部分を、少しでもゼロに近づけるという方向性での発想。

確かにそれによって生まれる、今までとは違う価値もあるだろう。前の商品やサービスと比較すると、その良くなった差分は、価値と映る。

 

長所を伸ばすという考え方もある。が、これも、言葉としては「長所を伸ばす」だが、今までより「良く」できるところを伸ばすこと。なので、長所を伸ばすというよりも、特徴点を補強、改善したということの意味合いが。

 

 

上記のどちらも、今その商品やサービスが持っている価値の軸を、より良い方向にずらすという活動。
それに対して、新しい価値を生み出すというのは、いまはその商品、サービスには無い、「新たな価値の軸」を創出するということ。もちろん、いつでも誰にでも、万人に評価される軸になる、とは限らないもの。

けれど、今ある売れ筋であったとしても、それは「多数」に受けているように見えて、それがネックになっている人が「少数」必ずどこかにいる。(そこが、大多数による巨大なメリットによってかき消されているだけの事。無視できるほどに「多数」になったときに、大手を振って「価値だ」と思われる。いわば、少数向けの価値レベルでは認めない、ある意味、多様性とは逆方向とも言えなくもない。)

新しい軸が生み出された時には、その多くが、価値がある/無いといった、そこでは判断が早すぎる事に翻弄されること。もちろん、明らかに間違っていることもあるけれど、少し待つことでその価値が浸透していくこともある。

 

長所が長所として浸透するのか、短所は本当に短所なのか、社会にしみこむ時間が必要なんじゃないかな。みんな、即効性ばかりを求めすぎていないか?